インフルエンサーのキャスティング④アプローチと交渉

インフルエンサーのキャスティングにおいて、候補者のリストアップが完了したら、次はいよいよアプローチと交渉のフェーズに移ります。
この段階は、施策の成否を左右する非常に重要なプロセスです。
どんなに素晴らしいインフルエンサーを見つけても、彼らの協力を得られなければ意味がありません。
本記事では、インフルエンサーに効果的にアプローチし、双方にとって有益な条件で合意に至るための具体的な方法と注意点を、交渉の進め方からトラブルのバックアップ対応まで網羅的に解説します。
インフルエンサーのキャスティングの流れを確認したい場合はこちらの記事をご覧ください。
アプローチ方法の選択
インフルエンサーへのアプローチには、企業が直接連絡を取る方法と、専門のエージェントを介する方法があります。
それぞれにメリット・デメリットが存在するため、自社のリソースやかけられるコスト、そして伴うリスクを天秤にかける必要があります。
また、インフルエンサーが事務所に所属している場合は、対応方法も異なります。
これらの選択肢ごとの特徴を理解し、自社の状況に最も適したアプローチ方法を戦略的に選ぶことが、交渉をスムーズに進める第一歩となります。
直接依頼 vs エージェント経由を比較する
インフルエンサーへのアプローチ方法は、大きく「直接依頼」と「エージェント経由」の2つに分けられます。
直接依頼は、SNSのDMやメールなどを通じて企業がインフルエンサー本人、またはマネージャーに直接連絡する方法です。
一方、エージェント経由は、インフルエンサーマーケティングを専門とする会社に仲介を依頼する方法を指します。
両者にはコスト面や手間、専門性において明確な違いがあるため、それぞれの特徴を理解することが重要です。
自社の予算や担当者のスキル、かけられる時間などを考慮し、最適な方法を選択しましょう。
項目 | 直接依頼 | エージェント経由 |
---|---|---|
コスト | 仲介手数料がなく、コストを抑えやすい | 仲介手数料やディレクション費用が発生する |
手間・時間 | リストアップから交渉、進行管理まで全て自社で行うため手間がかかる | 候補者選定や交渉、管理を代行してくれるため手間が省ける |
専門性・ノウハウ | 社内にノウハウがないと、交渉やトラブル対応が難しい場合がある | 過去の実績に基づいた専門的な知見やサポートを受けられる |
リスク | 契約や進行でトラブルが発生するリスクが比較的に高い | 契約周りやトラブル対応も代行してくれるためリスクを軽減できる |
所属事務所があるインフルエンサーへの対応
インフルエンサーの中には、芸能事務所や専門のプロダクションに所属しているケースが多くあります。
事務所に所属しているインフルエンサーへアプローチする場合、本人に直接DMなどを送るのはマナー違反とされることがほとんどです。
まずは公式サイトやSNSのプロフィールを確認し、連絡先として記載されている事務所の窓口(マネージャーなど)に連絡するのが基本ルールです。
その際、企業の紹介、依頼したい企画の概要、目的、予算、期間などをまとめた企画書を準備しておくと、話がスムーズに進みます。
いきなり詳細な条件を提示するのではなく、まずは協業の可能性について打診するという丁寧な姿勢でコンタクトを取りましょう。
コストとリスク・手間のトレードオフを把握する
インフルエンサーへのアプローチ方法を選ぶ際には、「コスト」「リスク」「手間」の3つの要素がトレードオフの関係にあることを理解しておく必要があります。
例えば、直接依頼はエージェントへの仲介手数料がかからないため、コストを最も低く抑えられる可能性があります。
しかしその反面、インフルエンサーの選定、煩雑な交渉、契約書の作成、投稿管理といったすべての手間を自社で担う必要があり、予期せぬトラブルが発生した際のリスクも直接負うことになります。
一方でエージェント経由は、手数料というコストが発生しますが、専門家によるサポートで手間を大幅に削減でき、契約や進行上のリスクも軽減できます。
自社のリソースとノウハウを客観的に評価し、どの要素を優先するのかを判断することが重要です。
初回コンタクトのポイント
インフルエンサーへの初回コンタクトは、施策の第一印象を決める重要なステップです。
数多くの依頼を受ける人気インフルエンサーに興味を持ってもらうためには、戦略的なアプローチが欠かせません。
まずは、誰がどのチャネルで連絡するのが最も効果的かを定めます。
そして、相手の過去の活動を十分にリサーチした上で、なぜあなたに依頼したいのかという熱意が伝わる導入文を作成し、依頼の目的と期待する成果を具体的に伝えることが、円滑なコミュニケーションの鍵となります。
誰がどのチャネルでアプローチするかを決める
初回のアプローチを誰が行い、どのチャネルを使うかは、相手に与える印象を大きく左右します。
担当者は、プロジェクトの責任者やマーケティング担当者が一般的ですが、企業の代表者から直接連絡することで、本気度や熱意が伝わりやすくなるケースもあります。
アプローチのチャネルは、インフルエンサーが公式に公開している連絡手段を選ぶのが鉄則です。
多くの場合は、プロフィール欄に記載されているビジネス用のメールアドレスや、公式サイトの問い合わせフォームが該当します。
InstagramのDMを開放しているインフルエンサーもいますが、まずはフォーマルな連絡先からアプローチするのが無難でしょう。
適切な担当者とチャネルを選ぶことで、スムーズなコミュニケーションの第一歩を踏み出せます。
相手の実績・投稿スタイルを事前にリサーチする
インフルエンサーにアプローチする前には、必ずその人の過去の実績や投稿スタイルを徹底的にリサーチしましょう。
どのような世界観を持っているか、どのようなトーンで情報を発信しているか、ファンはどのようなコメントをしているかなどを深く理解することが重要です。
このリサーチを怠り、誰にでも送れるような定型文で依頼しても、相手には響きません。
「あなたの〇〇という投稿の、〇〇な点に感銘を受けました」「弊社の製品が持つ〇〇という世界観は、あなたのスタイルと非常に親和性が高いと感じています」といったように、リサーチに基づいた具体的な言葉でアプローチすることで、自社への関心を一気に高めることができます。
相手へのリスペクトを示すことが、良好な関係構築の基礎となります。
導入文で共感・関心を引く内容を含める
インフルエンサーのもとには、日々多くの企業から依頼のメッセージが届きます。
その他大勢の連絡に埋もれてしまわないためには、最初の数行で相手の心をつかむ導入文が不可欠です。
テンプレート的な挨拶から始めるのではなく、事前のリサーチで得た情報をもとに、パーソナライズされた内容を盛り込みましょう。
例えば、「〇〇についての投稿、いつも楽しく拝見しております。特に△△の投稿は、弊社の理念とも通じる部分があり、大変共感いたしました」のように、具体的な投稿に言及し、共感の意を示すことが有効です。
なぜ自分が選ばれたのかが明確に伝わることで、インフルエンサーは依頼内容に興味を持ち、真剣に検討してくれる可能性が高まります。
目的と期待成果を明確に伝える
インフルエンサーに対して、なぜこの施策を行うのかという「目的」と、協力によって何を実現したいのかという「期待成果」を初回コンタクトの段階で明確に伝えることが重要です。
目的が曖昧なままでは、インフルエンサーもどのようなクリエイティブを作れば良いのか判断できません。
「新ブランドの認知度を20代女性の間で拡大したい」「キャンペーンサイトへのクリック数を1,000件増やしたい」など、依頼の背景とゴールを具体的に示しましょう。
また、期待する成果についても、「フィード投稿1回とストーリーズでの告知2回をお願いしたい」「投稿後2週間のエンゲージメント率〇%を目指したい」のように、具体的なアクションやKPIを提示することで、双方の認識のズレを防ぎ、スムーズな交渉へとつなげることができます。
条件提示の内容
インフルエンサーとの交渉を円滑に進め、後のトラブルを防ぐためには、依頼する内容の条件を具体的かつ明確に提示することが不可欠です。
報酬体系はもちろん、投稿の形式や頻度、締切日といったクリエイティブの要件、使用する媒体の範囲を定めます。</p
さらに、作成されたコンテンツの権利をどちらが保有するのか、ステルスマーケティング規制にどう対応するのかといった、法務やコンプライアンスに関わる項目についても、事前にしっかりと取り決めておく必要があります。
これらの条件を網羅的に提示することが、双方の合意形成の土台となります。
報酬体系(固定報酬・成果報酬・商品提供など)の選択
インフルエンサーへの報酬体系は、主に「固定報酬」「成果報酬」「商品提供(ギフティング)」の3種類に大別されます。
固定報酬は、フォロワー数などに応じて設定された金額を投稿の対価として支払う最も一般的な形式です。
成果報酬は、投稿経由での商品購入や会員登録といった成果(コンバージョン)に応じて報酬を支払う仕組みで、アフィリエイトが代表例です。
商品提供は、金銭的な報酬の代わりに自社商品やサービスを提供するもので、ギフティングとも呼ばれます。
どの報酬体系を選択するかは、施策の目的や予算、インフルエンサーの影響力などを総合的に考慮して決定する必要があります。
複数の選択肢を提示し、インフルエンサーの希望を聞きながら調整するのも良いでしょう。
投稿形式・頻度・締切日の指定
依頼する投稿の内容についても、具体的な要件を明確に伝える必要があります。
まず、投稿形式はInstagramのフィード、ストーリーズ、リール、YouTubeのショート動画など、どのフォーマットでの投稿を希望するのかを具体的に指定します。
次に、投稿の頻度や回数です。
単発の依頼なのか、キャンペーン期間中に複数回の投稿をお願いするのかを伝えます。
最後に、スケジュール管理において最も重要な締切日です。
投稿内容の下書きを提出してもらう「下書き確認の締切日」と、実際にSNSへ投稿してもらう「投稿公開日」を明確に設定しましょう。
これらの要素を事前にFIXさせることで、プロジェクトの進行がスムーズになります。
使用する媒体と拡散範囲(SNS, ライブ, ストーリーズ等)
インフルエンサーに依頼する際、どのSNS媒体で投稿してもらうのかを明確に定める必要があります。
例えば、メインはInstagramでの投稿依頼だとしても、同じ内容をX(旧Twitter)やTikTokでもシェアしてもらうことは可能か、といった依頼範囲の確認です。
また、通常のフィード投稿に加えて、Instagramライブでの商品紹介や、ストーリーズでの追加告知なども依頼内容に含める場合は、その旨も事前に伝え、報酬の範囲内なのか、別途費用が発生するのかをすり合わせなければなりません。
「投稿」という言葉が指す範囲は人によって解釈が異なる可能性があるため、使用する媒体と具体的な拡散方法まで細かく定義しておくことが、後のトラブル回避につながります。
権利・素材の所有(画像・動画の使用権など)
インフルエンサーが制作した投稿(画像、動画、テキストなど)の著作権は、原則として制作者であるインフルエンサー本人に帰属します。
そのため、企業側がその投稿を自社の公式SNSアカウントで再投稿(リポスト)したり、ウェブサイトや広告バナーなどに使用(二次利用)したりする場合は、別途インフルエンサーからの許諾が必要です。
この二次利用の可否や、利用可能な範囲(媒体、期間など)、追加費用の有無については、必ず契約前に確認し、書面で合意しておかなければなりません。
無断で二次利用すると著作権侵害となり、大きなトラブルに発展する可能性があります。
権利関係をクリアにしておくことは、コンプライアンス上非常に重要です。
告知表示・ステルスマーケティング対応の基準
2023年10月からステルスマーケティング規制(ステマ規制)が施行されたことにより、企業からの依頼に基づいたインフルエンサーの投稿には、それが広告であることを消費者に明確に伝えなければならなくなりました。
具体的には、「#PR」「#広告」「#プロモーション」といったハッシュタグや、「〇〇社とのタイアップ投稿です」といった文言を、投稿の分かりやすい場所に表示することが義務付けられています。
この広告表示のルールを遵守していないと、インフルエンサーではなく依頼主である企業側が景品表示法違反として処罰の対象となります。
そのため、依頼の際には、必ず広告である旨を明記するよう明確に指示し、その表示方法についても事前にすり合わせておく必要があります。
交渉の進め方
インフルエンサーとの交渉は、単に条件を伝える場ではありません。
相手をビジネスパートナーとして尊重し、良好な関係を築くためのコミュニケーションの機会です。
まずは相手の希望を丁寧にヒアリングする姿勢を見せ、その上で自社の譲れない条件と譲歩できる点を明確にして交渉に臨みます。
時には複数の選択肢を提示して柔軟な対応を心がけ、常に透明性を保つことで信頼を得ることが重要です。
最終的には、合意内容を必ず文書化し、認識の齟齬がないようにすることがトラブル防止の鍵となります。
相手の希望・都合を聴く姿勢を持つ
効果的な交渉を行うためには、まず相手の意見や希望に耳を傾ける「傾聴」の姿勢が非常に重要です。
自社の要望を一方的に伝えるだけでは、相手は「単なる駒として見られている」と感じ、協力的な関係を築くことは難しくなります。
「希望される報酬額はどのくらいですか?」「制作期間はどの程度必要ですか?」「クリエイティブに関して、何かアイデアはありますか?」といったように、インフルエンサー側の考えや都合を尋ねましょう。
相手の意向を尊重し、可能な範囲でそれを条件に反映させることで、インフルエンサーはプロジェクトへの当事者意識を高め、より質の高いアウトプットを出してくれる可能性が高まります。
信頼関係は、こうした双方向のコミュニケーションから生まれます。
譲歩できる項目と絶対条件をあらかじめ整理する
交渉に臨む前には、社内で「譲歩できる項目」と「譲れない絶対条件」を明確に整理しておくことが不可欠です。
例えば、予算には上限があるため報酬額は絶対条件だが、投稿の公開日については数日前後しても問題ない、といった具合です。
他にも、投稿内容におけるブランドロゴの表示は必須だが、ハッシュタグの選定はある程度インフルエンサーに任せられる、など、項目ごとに優先順位をつけておきましょう。</p
このように事前に交渉の落としどころ(着地点)を複数パターン想定しておくことで、話し合いの場で柔軟に対応できるようになります。
行き当たりばったりの交渉は、時間の浪費や不利な条件での合意につながるため、周到な準備が成功の鍵を握ります。
複数提案(パッケージ案)で選択肢を提示する
交渉の場で条件が折り合わない場合や、より柔軟な提案をしたい場合には、複数の選択肢を提示する「パッケージ提案」が有効です。
例えば、報酬額や投稿内容に応じて松・竹・梅のような3つのプランを提示する方法です。
プランAはフィード投稿1回、プランBはフィード投稿1回にストーリーズ投稿2回を追加、プランCはさらにライブ配信も加える、といった形で、内容と報酬が連動したパッケージを複数用意します。
これにより、インフルエンサーは自身の希望やスケジュールに合わせてプランを選ぶことができ、交渉が行き詰まるのを防げます。
企業側にとっても、予算内で最大の効果を得るための調整がしやすくなるというメリットがあります。
透明性を持たせて信頼を築く交渉を行う
インフルエンサーとの長期的なパートナーシップを築くためには、交渉の過程で透明性を保ち、信頼を得ることが極めて重要です。
なぜこの報酬額なのか、なぜこの投稿内容をお願いしたいのか、その背景や理由を誠実に説明することで、相手は企業側の意図を理解し、納得感を持って協力してくれます。</p
隠し事をしたり、不利な情報を伝えなかったりすると、後でそれが発覚した際に信頼関係は一気に崩れてしまいます。
不明瞭な点があれば正直に伝え、共に解決策を探る姿勢を見せることが大切です。
オープンで誠実なコミュニケーションを心がけることが、一時的な取引相手ではなく、信頼できるパートナーとしての関係を構築することにつながります。
締結前に契約内容を文書化する/確認事項リストを作る
交渉がまとまり、双方が条件に合意したら、必ずその内容を契約書や発注書といった書面の形で文書化しましょう。
口約束だけでプロジェクトを進めるのは、後の「言った、言わない」のトラブルの元となり、非常に危険です。
契約書には、これまでに合意したすべての項目(報酬額と支払条件、業務内容、納期、投稿内容、権利関係、二次利用の範囲、秘密保持義務など)を正確に記載します。</p
契約を締結する前には、確認事項のチェックリストを作成し、法務担当者も交えて内容を精査することをお勧めします。
このひと手間が、万が一のトラブルから自社を守るための重要な砦となります。
バックアップ対応
インフルエンサーマーケティングには、予期せぬトラブルがつきものです。
交渉の決裂、スケジュールの遅延、期待したクオリティの投稿が上がってこない、あるいは炎上してしまうといったリスクは常に存在します。
こうした不測の事態に慌てないためにも、事前にリスクを想定し、具体的な対応策を準備しておく「バックアッププラン」が不可欠です。
代替候補の確保からトラブル発生時の対応プロセスまで、万全の体制を整えておくことで、施策へのダメージを最小限に抑えることができます。
代替インフルエンサーの候補を準備しておく
インフルエンサーマーケティングにおいて、本命の候補者との交渉が必ずしもうまくいくとは限りません。
条件が折り合わなかったり、スケジュールの都合がつかなかったりして、交渉が決裂するケースは十分に考えられます。
また、契約後にインフルエンサー側の事情で急遽キャンセルになる可能性もゼロではありません。
そのような事態に備え、依頼したいインフルエンサーの候補は常に複数リストアップしておきましょう。
優先順位をつけた第2、第3の候補者をあらかじめ準備しておくことで、プランAが頓挫してもキャンペーンの進行を止めることなく、スムーズにプランBへと移行することが可能になります。
このリスクヘッジが、施策の安定的な運用につながります。
スケジュール遅延や投稿不実施時の対応策を設定する
プロジェクトを円滑に進めるためには、スケジュール管理に関するリスク対策も重要です。
例えば、事前に設定した締切日までに投稿内容の下書きが提出されない、あるいは指定した日時に投稿が行われない、といった事態を想定しておく必要があります。</p
このようなケースに備え、まずはリマインドの連絡をいつ、誰が行うかというルールを決めておきましょう。
さらに、契約書には、正当な理由なく納期が遅延した場合のペナルティ(報酬の減額など)や、最終的に投稿が実施されなかった場合の契約解除条項などを明記しておくことも有効な対策です。
事前にルールを明確にすることで、遅延の発生を抑制する効果も期待できます。
クリエイティブ修正やクオリティ不満時の再提出ルール
インフルエンサーから提出されたクリエイティブ(投稿案)が、事前の依頼内容と異なっていたり、ブランドイメージに合わないなど、クオリティに満足できないケースも起こり得ます。
このような場合に備え、修正依頼に関するルールを事前に明確にしておくことが重要です。
具体的には、「修正依頼は原則〇回まで」「修正指示はまとめて一度に行う」「再提出の期限は〇日以内」といったフローを、契約前にお互いに合意しておきましょう。</p
主観的な指摘ではなく、依頼内容とどう違うのかを具体的にフィードバックすることが、スムーズな修正作業のポイントです。
明確なルール設定が、無用なトラブルやコミュニケーションコストの増大を防ぎます。
万が一の炎上やトラブル時の対応プロセスを決めておく
インフルエンサーの投稿内容が、意図せずして誤解を招いたり、批判的なコメントが殺到したりする「炎上」のリスクは常に考慮しておくべきです。
万が一炎上が発生した場合に、誰が、いつまでに、どのような対応をとるのか、緊急時の対応プロセスを事前に決めておく必要があります。
具体的には、状況を把握するエスカレーションフロー、公式な見解を発表するか否かの判断基準、投稿の削除や修正を行う場合の対応手順などをシミュレーションしておきます。
インフルエンサー本人と企業側で、どのように連携して事態の収拾にあたるのかをあらかじめ合意しておくことで、迅速かつ適切な初期対応が可能になり、ダメージの拡大を防ぐことができます。
まとめ
インフルエンサーへのアプローチと交渉は、施策の成果を大きく左右する重要な工程です。
成功の鍵は、相手へのリスペクトに基づいた丁寧なコミュニケーションと、起こりうるリスクを想定した周到な準備にあります。
直接依頼かエージェント経由かを見極め、初回コンタクトで熱意と誠意を伝えます。
交渉では、報酬や権利関係などの条件を明確に提示し、双方にとって納得のいく合意を目指しましょう。
そして、万が一のトラブルに備えたバックアッププランを準備しておくことも忘れてはなりません。
これらのステップを確実に行うことで、インフルエンサーと良好なパートナーシップを築き、マーケティング効果の最大化へとつなげることができるでしょう。
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