インフルエンサーのキャスティング①選定基準の設定

インフルエンサーのキャスティング①選定基準の設定

インフルエンサーのキャスティングを成功させる鍵は、明確な選定基準を設けることです。

自社の目的や予算、そしてブランドイメージに合致したインフルエンサーを的確に選ぶためのプロセスは、マーケティング施策の成果を大きく左右します。

本記事では、キャスティングの際に定めるべき「目的」「契約期間」「予算」という3つの軸に基づいた、具体的な選定基準の設定方法を解説します。

インフルエンサーのキャスティングの流れを確認したい場合はこちらの記事をご覧ください。

目次

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目的を明確化

インフルエンサーキャスティングの第一歩は、キャンペーンの目的を具体的に設定することです。

目的が「認知拡大」なのか、「購買促進」なのかによって、選ぶべきインフルエンサーのタイプや評価指標は全く異なります。

ここでは、代表的な4つの目的別に、どのようなインフルエンサーが適しているのか、その選定基準について詳しく見ていきましょう。

認知拡大/ブランド認知の向上をゴールとするか

ブランドや商品の認知度を飛躍的に高めたい場合、リーチ数やインプレッション数を最大化することが目標となります。

この目的のためには、幅広い層に情報を届けられるメガインフルエンサーや、特定の分野で強い影響力を持つミドルインフルエンサーが適任です。

選定時には、フォロワーの属性が自社のターゲット層と一致しているかを確認しつつ、過去の投稿におけるリーチ数やインプレッション数の実績データを重視しましょう。

単にフォロワー数が多いだけでなく、実際にどれだけ多くのユーザーに投稿が届いているかという「情報の拡散力」を基準に選ぶことが成功の鍵です。

購買促進/売上・リード獲得を重視するか

商品の購入やサービスの申し込みといった、直接的なコンバージョンを目的とする場合は、フォロワーの購買意欲を刺激できるインフルエンサーの選定が不可欠です。

選定基準としては、過去のPR投稿におけるクリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)、費用対効果(ROAS)などの実績を重視します。

商品の魅力を自身の言葉で具体的に伝え、フォロワーからの信頼が厚いインフルエンサーが向いています。

ギフティングやレビュー企画で高いエンゲージメントを獲得した実績があるか、また紹介する商品カテゴリーとの親和性が高いかどうかも重要な判断材料となります。

エンゲージメント獲得(フォロワーとの関係性重視)か

いいね、コメント、保存といったフォロワーからの積極的な反応(エンゲージメント)を重視する場合、フォロワーとの距離が近く、密なコミュニケーションを築いているインフルエンサーが最適です。

特に、フォロワー数は少なくても熱量の高いコミュニティを持つマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーは、高いエンゲージメント率を期待できます。

選定時には、フォロワー数に対する平均エンゲージメント率を算出し、コメントの内容やインフルエンサーからの返信状況を確認しましょう。

フォロワーからの質問に真摯に答え、信頼関係を構築している姿勢が見えるかどうかが重要なポイントです。

クリエイティブ素材(写真・動画など)の質を求めるか

インフルエンサーが制作するコンテンツそのものを、広告素材として二次利用したい場合は、クリエイティブの質が最も重要な選定基準となります。

写真の構図や色味、動画編集のスキルなど、コンテンツ制作能力が高いインフルエンサーを選びましょう。

ポートフォリオを確認し、ブランドの世界観とインフルエンサーのクリエイティブテイストが合致しているかを慎重に判断する必要があります。

また、二次利用に関する契約条件を事前に明確に提示し、合意を得ておくことが不可欠です。

クリエイターとしての一面を持つインフルエンサーとの協業が効果的です。

契約期間

インフルエンサーとの連携を考える際、契約期間の設定は施策の効果を左右する重要な要素です。

単発の投稿で短期的なインパクトを狙うのか、それとも長期的な関係性を築いてブランドへの深い理解を促すのか。

キャンペーンの性質や目的に合わせて、最適な契約形態を検討する必要があります。

ここでは、期間に応じたそれぞれのメリットと選定のポイントを解説します。

単発投稿かシリーズ投稿かを決める

契約形態を考える上で、まず単発投稿かシリーズ投稿かを決定します。

単発投稿は、新商品の発表やセール告知など、短期的に強いインパクトを出したい場合に有効です。

一方、シリーズ投稿は、商品の使用プロセスや長期的な変化を見せることで、より深く商品の魅力を伝え、フォロワーの理解と共感を促すのに適しています。

例えば、スキンケア商品であれば、数週間にわたる使用感の変化を複数回に分けて投稿する方が、信頼性が高まります。

伝えたいメッセージの深さや複雑さに応じて、適切な投稿形式を選びましょう。

キャンペーン期間に応じた投稿頻度を設定する

キャンペーン全体の期間に合わせて、インフルエンサーの投稿頻度を設計することも重要です。

例えば、1ヶ月間の集中キャンペーンであれば、期間中に2〜3回の投稿を依頼することで、フォロワーの関心を維持し、購買意欲を段階的に高めることができます。

一方で、長期間にわたるブランド認知向上施策の場合は、月1回程度の投稿を継続することで、定期的にブランドを思い出してもらう効果が期待できます。

投稿頻度が高すぎるとフォロワーに飽きられてしまう可能性もあるため、インフルエンサーの普段の投稿ペースも考慮しながら、最適な頻度を設定しましょう。

長期契約によるブランドとの親和性強化を重視する

インフルエンサーと長期契約を結ぶ最大のメリットは、ブランドへの深い理解と愛着を育み、真のブランドアンバサダーになってもらえる点にあります。

長期間にわたって商品やサービスに触れ続けてもらうことで、インフルエンサー自身の言葉で、より熱意のこもった説得力のある発信が期待できます。

フォロワーからも「本当にこのブランドが好きなんだな」という信頼感が生まれ、エンゲージメントや購買意欲の向上に繋がりやすくなります。

ブランドのファンを増やし、LTV(顧客生涯価値)を高めたい場合に特に有効な戦略です。

予算の設計

インフルエンサーキャスティングにおいて、予算設計は施策の規模と成果を決定づける根幹です。

インフルエンサーへの報酬だけでなく、撮影や編集にかかる追加コストまで含めて、全体像を正確に把握する必要があります。

費用対効果を最大化するために、報酬基準の理解や各インフルエンサー層の比較、そして万が一の予算超過に備えた優先順位付けまで、計画的に進めましょう。

報酬の基準:フォロワー数・再生数・エンゲージメント率など

インフルエンサーへの報酬は、様々な指標を基に決定されます。

最も一般的なのは「フォロワー単価」で、「フォロワー数 × 1〜5円」が相場とされています。

また、動画の場合は「再生数保証型」、成果を重視する場合は「エンゲージメント単価」や、商品販売数に応じた「成果報酬型」などがあります。

最近では、単一の指標だけでなく、影響力やクリエイティブの質、専門性などを総合的に評価して報酬を決定する「固定報酬型(ギフティング+謝礼)」も増えています。

キャンペーンの目的に合わせて最適な報酬形態を選ぶことが重要です。

マイクロ/ミドル/メガインフルエンサーでコスト対効果を比較する

インフルエンサーはフォロワー数によって主に3つの層に分けられ、それぞれコストと期待できる効果が異なります。

予算と目的に応じて、どの層のインフルエンサーを起用するか、あるいは組み合わせるかを検討しましょう。

種類フォロワー数目安コスト特徴
マイクロインフルエンサー1千~10万人低いエンゲージメント率が高く、費用対効果に優れる。ニッチな層への訴求に強い。
ミドルインフルエンサー10万~100万人中間リーチとエンゲージメントのバランスが良い。特定ジャンルで強い影響力を持つ。
メガインフルエンサー100万人以上高い圧倒的なリーチ力で、大規模な認知獲得に最適。

追加コスト(撮影・編集・交通・素材提供等)の見積もりを含める

インフルエンサーへの報酬以外にも、様々な追加コストが発生する可能性があります。

例えば、スタジオでの撮影費用、プロのカメラマンやヘアメイクの費用、遠方でのロケにかかる交通費や宿泊費などが挙げられます。

また、インフルエンサーが制作したコンテンツを広告などで二次利用する場合には、別途ライセンス料が必要になることがほとんどです。

これらの費用を見積もりに含めずに進めると、後から予算を大幅に超過する原因となります。

契約前に、どこまでの費用が報酬に含まれるのかを明確に確認しておくことが不可欠です。

予算オーバーの際の優先順位(効果見込みが高い要素)を決める

限られた予算内で最大の効果を出すためには、あらかじめ優先順位を決めておくことが肝心です。

もし予算がオーバーしそうな場合、どの要素を優先し、どの部分を削るのかを明確にしておきましょう。

例えば、「認知拡大」が最優先なら、インフルエンサーのランクを少し下げてでも、起用人数を確保してリーチを広げる選択肢があります。

逆に「購買促進」が目的なら、起用人数を減らしてでも、エンゲージメント率が高く、コンバージョン実績のあるインフルエンサーに絞って投資する方が賢明です。

施策の目的に立ち返り、最も効果が見込める要素に予算を集中させましょう。

まとめ

インフルエンサーキャスティングの成功は、事前の準備、特に明確な選定基準の設定にかかっています。

まずは施策の「目的」を具体化し、それに合わせて「契約期間」の長短や投稿形式を決定します。

そして、報酬体系や追加コストまで含めた詳細な「予算」を設計し、費用対効果を最大化する計画を立てることが重要です。

これらの基準を一つひとつ丁寧​​に設定することで、自社ブランドに最適なインフルエンサーとの出会いが実現し、マーケティング施策の成果を確実なものにできるでしょう。

次の記事「インフルエンサーのキャスティング②候補者リストアップ」はこちら

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