インフルエンサーのキャスティング②候補者リストアップ

インフルエンサーのキャスティング②候補者リストアップ

インフルエンサーマーケティングの成功は、適切なインフルエンサーの選定にかかっています。

プロジェクトの目的とターゲットが明確になったら、次のステップは候補者のリストアップです。

本記事では、自社ブランドに最適なインフルエンサーを見つけ出すための具体的なリストアップ方法を5つのステップで解説します。

インフルエンサーのキャスティングの流れを確認したい場合はこちらの記事をご覧ください。

目次

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使用するSNSプラットフォームを決める

候補者リストアップの最初のステップは、主戦場となるSNSプラットフォームの選定です。

どこで情報を発信するかが、誰に届けるかを決定づけます。

ターゲット層の利用状況や各SNSの特性、そしてコスト感を総合的に判断し、最も効果的なプラットフォームを見極めることが重要です。

この選定が、後のインフルエンサー選定の精度を大きく左右します。

ターゲット層が最も使っているSNSを選定する

インフルエンサーマーケティングを成功させるには、まずターゲット層が日常的に利用しているSNSプラットフォームを特定することが不可欠です。

例えば、10代から20代の若年層にアプローチしたいのであればTikTokやInstagramが効果的でしょう。

一方で、30代以上のビジネス層や幅広い年齢層にリーチしたい場合は、FacebookやYouTubeが適しています。

自社の製品やサービスを届けたい顧客が、どのSNSで最も多くの時間を過ごし、どのような情報を求めているのかを正確に把握しましょう。

ターゲットのペルソナを具体的に描き、その人物が使うであろうSNSを選ぶことが、キャンペーンの第一歩となります。

プラットフォームごとのフォーマット特性を把握する(動画/画像/短文など)

各SNSプラットフォームは、それぞれ得意とするコンテンツのフォーマットが異なります。

伝えたいメッセージや商材の魅力が最も引き立つフォーマットを選ぶことが重要です。

例えば、商品のビジュアルを美しく見せたいならInstagramの画像投稿、使い方やレビューを詳しく伝えたいならYouTubeの長尺動画が適しています。

各プラットフォームの特性を理解し、自社のプロモーション内容と合致するものを選びましょう。

以下に主要なSNSの特性をまとめます。

プラットフォーム主なフォーマット特性
Instagram画像、短尺動画(リール)ビジュアル重視。世界観やブランドイメージを伝えやすい。
YouTube長尺動画、短尺動画(ショート)詳細な情報提供やレビューに適している。ファンとの深い関係構築が可能。
TikTok短尺動画エンターテイメント性が高く、トレンドが生まれやすい。若年層へのリーチに強い。
X (旧Twitter)短文テキスト、画像リアルタイム性、拡散力が高い。キャンペーン告知やユーザーとの交流に向いている。

各プラットフォームの投稿コスト・運用コストを比較する

インフルエンサーへの依頼費用は、プラットフォームによって大きく変動します。

一般的に、コンテンツ制作に手間と時間がかかるYouTubeのような動画プラットフォームは、画像やテキストが中心のInstagramやX(旧Twitter)に比べて高額になる傾向があります。

また、インフルエンサーのフォロワー数やエンゲージメント率も価格を左右する重要な要素です。

複数のプラットフォームで候補者をリストアップする際には、それぞれの費用感を把握し、予算内で最大の効果が見込めるのはどこかを比較検討する必要があります。

単にフォロワー単価を見るだけでなく、制作物のクオリティや期待されるエンゲージメントを考慮して、費用対効果を慎重に見極めましょう。

ハッシュタグ・キーワード検索

使用するプラットフォームが決まったら、次はいよいよ具体的なインフルエンサーを探すフェーズです。

最も基本的かつ効果的な手法が、ハッシュタグやキーワードを活用した検索です。

自社の業界やブランドに関連する言葉で検索することで、親和性の高いインフルエンサーを効率的に見つけ出すことができます。

この地道な検索が、隠れた逸材との出会いにつながります。

業界関連キーワードを洗い出す

まずは、自社の製品やサービス、業界に関連するキーワードを幅広く洗い出すことから始めましょう。

例えば、化粧品ブランドであれば「#コスメ紹介」「#スキンケア」「#今日のメイク」、食品メーカーであれば「#おうちごはん」「#簡単レシピ」「#オーガニック」などが考えられます。

これらのキーワードでSNS検索をかけると、そのテーマに関心を持ち、積極的に発信しているインフルエンサーが数多く見つかります。

単一のキーワードだけでなく、複数の言葉を組み合わせる(例:「#30代スキンケア」「#敏感肌コスメ」)ことで、よりターゲット層に近く、専門性の高い候補者を発見できる可能性が高まります。

人気&成長中のハッシュタグを調査する

業界の定番キーワードだけでなく、現在SNSでトレンドとなっているハッシュタグや、これから人気が出そうな成長中のハッシュタグを調査することも重要です。

人気のハッシュタグを使っているインフルエンサーは、トレンドに敏感で多くのユーザーの目に留まりやすい傾向があります。

一方で、特定のコミュニティで使われ始めたばかりのニッチなハッシュタグに注目することで、まだあまり知られていない有望なマイクロインフルエンサーを発掘できるチャンスもあります。

常にアンテナを張り、様々なハッシュタグをチェックすることで、競合他社とは異なるユニークなキャスティングが可能になります。

ブランド名・競合名を含めた検索を行う

自社ブランド名や商品名、さらには競合他社のブランド名で検索することも非常に有効な手段です。

自社ブランド名で検索すれば、すでに製品を愛用し、オーガニックな(PRではない)投稿をしてくれているファンであるインフルエンサーを見つけられるかもしれません。

このようなインフルエンサーは、熱意のあるPR投稿をしてくれる可能性が高いです。

また、競合名で検索すれば、その業界のPRに慣れているインフルエンサーや、競合がどのような層をターゲットにしているかを把握するヒントになります。

これらの情報をもとに、自社の戦略を練り直すきっかけにもなるでしょう。

SNS分析ツールの活用

手作業での検索と並行して、SNS分析ツールを活用することで、インフルエンサー探しはさらに効率的かつデータに基づいたものになります。

ツールを使えば、フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率やフォロワーの属性といった、目に見えない重要なデータを可視化できます。

勘や印象だけに頼らない、客観的な指標に基づいた候補者選定のために、ツールの導入を検討しましょう。

フォロワー数・エンゲージメント率が見えるツールを使う

インフルエンサーの影響力を測る上で、フォロワー数は一つの指標に過ぎません。

より重要なのは、その投稿がどれだけフォロワーに反応されているかを示す「エンゲージメント率」です。

エンゲージメント率(いいね、コメント、保存数などをフォロワー数で割ったもの)が高いほど、フォロワーとの関係性が強く、投稿内容が熱心に受け止められている証拠です。

SNS分析ツールを使えば、各候補者のエンゲージメント率を簡単に算出・比較できます。

フォロワーが多くても反応が薄いアカウントより、フォロワーは少なくてもエンゲージメント率が高いインフルエンサーの方が、結果的に高い効果をもたらすことが多々あります。

フォロワー属性(年齢・性別・地域)を可視化する機能を利用する

インフルエンサー自身の魅力だけでなく、そのフォロワーが自社のターゲット層と合致しているかを確認することは極めて重要です。

例えば、20代女性向けの商品をPRしたいのに、インフルエンサーのフォロワーが主に30代男性であれば、期待する効果は得られません。

多くのSNS分析ツールには、インフルエンサーのフォロワーの年齢、性別、居住地域といったデモグラフィックデータを分析する機能が備わっています。

この機能を活用することで、インフルエンサーの先にいる「本当に情報を届けたい人々」を正確に捉え、ミスマッチを防ぐことができます。

過去の投稿実績・PR事例をツールでチェックする

候補者が過去にどのようなPR案件を手掛けてきたかを確認することは、その人の信頼性やブランドとの相性を見極める上で欠かせません。

SNS分析ツールを使えば、特定のインフルエンサーの過去のPR投稿を一覧で確認できる場合があります。

これにより、投稿のクオリティ、ブランドへの理解度、フォロワーからの反応などを効率的にチェックできます。

また、PR投稿の頻度が極端に高すぎないか、特定のジャンルに偏っていないかなども確認しましょう。

自社のブランドイメージを損なわず、誠実な形で商品を紹介してくれるかどうかを判断するための重要な材料となります。

類似ブランドや競合事例を調査

自社内でのリサーチに行き詰まったら、視点を変えて競合他社や類似ブランドの動向を調査してみましょう。

彼らがどのようなインフルエンサーを起用し、どのような成功を収めているかを分析することは、自社の戦略を立てる上で非常に有益な情報となります。

成功事例から学び、自社ならではのキャスティングに活かすことで、失敗のリスクを減らすことができます。

ただし、単なる模倣で終わらせない工夫が重要です。

競合ブランドが実際に起用しているインフルエンサーを調べる

自社と同じ業界やターゲット層を持つ競合ブランドが、どのインフルエンサーを起用しているかをリストアップしてみましょう。

競合のSNSアカウントをフォローしたり、「#PR」「#提供」といったハッシュタグで検索したりすることで、PR投稿を簡単に見つけることができます。

これにより、すでにその業界の知識があり、PR案件に慣れているインフルエンサーの候補リストが手に入ります。

また、競合がどのような層のインフルエンサーにアプローチしているかを知ることで、市場のトレンドや自社が狙うべきポジションを再確認するきっかけにもなります。

類似商品/サービスの成功事例を細かく分析する

インフルエンサーをリストアップするだけでなく、そのPR投稿がなぜ成功したのか(あるいは失敗したのか)を深く分析しましょう。

どのようなクリエイティブ(写真や動画の撮り方)だったか、どのような文章(キャプション)で商品の魅力を伝えていたか、ユーザーからはどのようなコメントが寄せられていたかなどを細かくチェックします。

成功事例の共通点を見つけ出すことで、自社がインフルエンサーに依頼する際の具体的なディレクションや投稿内容のヒントが得られます。

単に「誰を起用したか」だけでなく、「どのように活用したか」を学ぶことが重要です。

そのインフルエンサーの発信内容がブランドに合うか比較する

競合が起用しているからといって、そのインフルエンサーが自社にも最適とは限りません。

必ずそのインフルエンサーの普段の投稿(オーガニック投稿)をチェックし、発信している世界観や価値観、言葉遣いなどが自社のブランドイメージと合致しているかを確認してください。

例えば、高級感を大切にするブランドが、非常にカジュアルで親しみやすいキャラクターのインフルエンサーを起用すると、ブランドイメージにずれが生じる可能性があります。

フォロワー数やエンゲージメント率といった数値データだけでなく、こうした定性的な「相性」を見極めることが、長期的なブランド価値の向上につながります。

一次リストの整理

ここまでのステップで、数十名から場合によっては百名以上の候補者リストができあがっているはずです。

最後のステップは、このリストを客観的な基準で整理し、アプローチすべき優先順位を明確にすることです。

リストを精査し、偽のフォロワーを持つアカウントなどを除外することで、より質の高いショートリストを作成します。

この作業が、最終的なキャスティングの精度を決定づけます。

リストに複数指標でスコアをつける(例:影響力/親和性/コスト)

リストアップした候補者を客観的に評価するために、複数の指標を用いてスコアリング(点数付け)を行いましょう。

評価指標としては、エンゲージメント率やフォロワーの伸び率などの「影響力」、投稿内容の世界観やフォロワー属性との合致度などの「親和性」、そして想定される依頼費用の「コスト」などが挙げられます。

これらの項目をスプレッドシートなどにまとめ、各インフルエンサーを5段階評価などで点数化します。

これにより、個人の感覚だけでなく、チーム全体で共通の基準を持って候補者を比較検討することができ、より客観的で納得感のある選定が可能になります。

スパムアカウント・偽フォロワーのチェックをする

フォロワー数が多いように見えても、その実態が購入された偽フォロワー(ボット)やアクティブでないアカウントばかりであるケースも少なくありません。

このようなインフルエンサーに依頼しても、期待する効果は得られません。

偽フォロワーを見分けるには、フォロワー数に対してエンゲージメント(いいねやコメント)が極端に少ない、コメントが外国語や無関係な内容ばかりである、といった点に注意します。

また、フォロワーの増減グラフが不自然に急増している場合も注意が必要です。

専用のチェックツールを使えば、より精度高くオーディエンスの質を分析することも可能です。

優先度順に並べ替えて候補を絞る

スコアリングとスパムチェックが完了したら、総合点の高い順にリストを並べ替え、アプローチする候補者を絞り込みます。

まずは最も優先度の高い「第一候補群」を数名〜十数名程度選定し、交渉を開始します。

インフルエンサーによっては、スケジュールの都合や競合との契約関係で依頼を断られるケースも想定されるため、すぐに次の候補者にアプローチできるよう「第二候補群」もリストアップしておくとスムーズです。

このショートリストをもとに、インフルエンサーへの打診や交渉という次のステップに進んでいきましょう。

これで、質の高い候補者リストが完成です。

まとめ

インフルエンサーの候補者リストアップは、効果的なマーケティングキャンペーンの土台を築く重要なプロセスです。

まずはターゲット層に合わせたSNSを選定し、ハッシュタグ検索や分析ツールを駆使して候補者を幅広く洗い出します。

同時に、競合の事例を分析して成功のヒントを得ることも忘れてはなりません。

最後に、集めた候補者を客観的な指標でスコアリングし、優先順位をつけて絞り込むことで、自社ブランドに最適なインフルエンサーを見つけ出すことができます。

このプロセスを丁寧に行うことが、成功への近道です。

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