オウンドメディアとコーポレートサイトの違いを目的・役割ごとに紹介

企業のWebサイト戦略を考える上で、「オウンドメディア」と「コーポレートサイト」の違いを理解することは非常に重要です。どちらも企業が情報を発信するための重要なプラットフォームですが、その目的や役割は大きく異なります。
なんとなく言葉は知っていても、具体的に何が違うのか、自社にはどちらが必要なのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
この記事では、オウンドメディアとコーポレートサイトのそれぞれの定義から、目的、役割、ターゲット、コンテンツ内容の違いまでを分かりやすく解説します。両者の特性を正しく理解し、効果的なWebサイト活用につなげるための一助となれば幸いです。
オウンドメディアとコーポレートサイトの違いとは?

オウンドメディアとコーポレートサイトは、どちらも企業が運営する「自社のウェブサイト」という点では共通しています。しかし、その存在意義や目指すゴールは明確に異なります。
コーポレートサイトは、いわば「企業の公式な顔」。株主、取引先、顧客、求職者など、あらゆるステークホルダーに対して、企業の基本的な情報や信頼性を伝えるための基盤となります。一方、オウンドメディアは、よりターゲットを絞り、価値ある情報を提供することで、潜在顧客や見込み顧客との関係を構築し、最終的にビジネス成果につなげることを主な目的としています。
この違いを理解しないままWebサイトを運営してしまうと、期待した効果が得られなかったり、リソースを無駄にしてしまったりする可能性があります。それぞれの特性を把握し、自社の戦略に合わせて適切に使い分ける、あるいは連携させることが、Webマーケティング成功の鍵となります。
コーポレートサイトとは?
コーポレートサイトとは、その名の通り、企業(Corporate)が公式に運営するウェブサイトのことです。企業の基本的な情報、事業内容、理念、沿革、ニュースリリース、IR情報、採用情報などを掲載し、社会的な信頼を得るための「企業の顔」としての役割を担います。

訪問者は、顧客、株主、投資家、取引先、求職者、メディア関係者など多岐にわたります。これらのステークホルダーに対して、正確で信頼性の高い情報を提供することが最も重要な使命と言えるでしょう。デザインや構成も、企業のブランドイメージを反映し、信頼感や安心感を与えるものが求められます。
コーポレートサイトの主な目的
コーポレートサイトが目指す主な目的は多岐にわたりますが、最も根幹にあるのは「企業の信頼性を構築・維持すること」です。公式な情報発信源として、企業の存在証明となり、社会的な信用を得るための基盤となります。
具体的には、まず、会社概要、事業内容、製品・サービス情報を正確に伝え、顧客や取引先に安心感を与える目的があります。次に、投資家向け情報(IR情報)を公開し、株主や投資家との良好な関係を築くことも重要な目的の一つです。
さらに、プレスリリースの発信による広報活動の拠点、採用情報の掲載による人材獲得、そして企業理念やビジョンを発信することによるブランディングも、コーポレートサイトが担う大切な目的です。これらの多様な目的を達成することで、企業全体の価値向上に貢献します。
コーポレートサイトが担う役割
コーポレートサイトは、企業の様々な活動を支える多様な役割を担っています。第一に挙げられるのは、「企業の公的な顔」としての役割です。ウェブサイトは、多くの人にとって企業との最初の接点となることが多く、その企業の第一印象を形成する上で非常に重要です。
次に、「公式情報の発表・集約拠点」としての役割があります。プレスリリース、IR情報、重要なお知らせなど、企業からの正式な情報を一元的に発信し、記録する場となります。これにより、情報の透明性と正確性を担保します。
また、「各種ステークホルダーとのコミュニケーション窓口」としての役割も担います。お問い合わせフォームや電話番号を掲載し、顧客、取引先、求職者などからのコンタクトを受け付ける窓口となります。さらに、事業内容や製品・サービス情報を網羅的に掲載することで、「企業の信頼性を担保する基盤」としての役割も果たしています。
オウンドメディアとは?
オウンドメディア(Owned Media)とは、企業が「自社で所有・運営するメディア」全般を指す言葉です。広義にはコーポレートサイトも含まれますが、一般的には、企業ブログ、ウェブマガジン、ノウハウを提供する情報サイトなど、ターゲットとする顧客層に向けて価値ある情報を継続的に発信し、関係構築やリード獲得を目指すメディアを指すことが多いです。

単なる製品・サービスの宣伝ではなく、読者の疑問や悩みを解決するコンテンツ、役立つ情報、専門知識などを提供することで、読者の関心を引きつけ、信頼関係を築いていくことを重視します。
オウンドメディアの主な目的
オウンドメディアの主な目的は、コーポレートサイトとは異なり、よりマーケティング活動に直結したものが中心となります。最大の目的の一つは、「潜在顧客や見込み顧客の獲得・育成(リードジェネレーション、リードナーチャリング)」です。読者の課題解決に役立つ情報を提供することで、自社の商品やサービスに関心を持ってもらい、将来的な顧客へと育てていきます。
また、専門性の高い情報や独自の視点を発信することで、「特定分野における専門家としての地位確立(ブランディング)」や、顧客のロイヤリティ向上も重要な目的です。継続的な情報発信は「検索エンジン経由での集客(SEO対策)」にも繋がり、広告に頼らない安定したアクセス獲得を目指します。
さらに、顧客との継続的な接点を生み出し、「良好な関係性を構築・維持すること」も大きな目的です。最終的には、これらの活動を通じて、企業の売上向上や事業成長に貢献します。
オウンドメディアが担う役割
オウンドメディアは、企業のマーケティング戦略において多様な役割を担います。まず、「継続的な情報発信拠点」としての役割です。ターゲット顧客が求める情報を定期的に発信することで、常に新しい情報を提供し、読者の関心を維持します。
次に、「顧客とのコミュニケーションチャネル」としての役割があります。コメント機能やSNS連携を通じて、読者との双方向のコミュニケーションを生み出し、エンゲージメントを高めます。これは、企業からの一方的な情報発信になりがちなコーポレートサイトとの大きな違いです。
さらに、質の高いコンテンツを提供することで、「価値提供による信頼関係構築」の役割を果たします。読者の課題解決に貢献することで、企業やブランドへの信頼感を醸成します。また、検索エンジンからの流入を増やす「集客装置」としての役割や、獲得した見込み客を育成する「リードナーチャリングの場」としての役割も非常に重要です。
【徹底比較】オウンドメディアとコーポレートサイトの違い
ここまで、コーポレートサイトとオウンドメディアそれぞれの定義、目的、役割について解説してきました。どちらも企業にとって重要なウェブサイトですが、その性質は大きく異なります。
ここからは、両者の違いを「目的(ゴール)」「ターゲットオーディエンス」「主なコンテンツ内容」「期待される効果・KPI」という4つの具体的な観点から、さらに詳しく比較していきます。
この比較を通じて、それぞれの特性をより深く理解し、自社の状況に合わせてどちらに注力すべきか、あるいはどのように連携させるべきかの判断材料としてください。
1.目的(ゴール)
オウンドメディアとコーポレートサイトでは、達成すべき目的(ゴール)が根本的に異なります。

コーポレートサイトの主な目的は、企業の「信頼性」を社会に示すことです。会社概要、事業内容、IR情報などを正確に伝えることで、株主、取引先、顧客、求職者といったあらゆるステークホルダーからの信用を得て、良好な関係を築くことを目指します。企業の公的な顔として、安心感を与えることが重要です。
一方、オウンドメディアの主な目的は、より能動的な「マーケティング活動」にあります。ターゲットとする顧客層に役立つ情報を提供し続けることで、潜在顧客を発見し、見込み顧客へと育成(リードジェネレーション・ナーチャリング)。最終的には製品・サービスの購入や問い合わせといった具体的なアクション(コンバージョン)を促し、売上向上に貢献することを目指します。顧客との関係構築やファン化も重要なゴールです。
比較項目 | コーポレートサイト | オウンドメディア |
---|---|---|
主な目的 | 信頼性の構築・維持、公式情報提供、ブランディング | リード獲得・育成、関係構築、潜在層へのアプローチ、SEO対策 |
目指す状態 | ステークホルダーからの信頼獲得、企業価値向上 | 顧客獲得、売上向上、ファン化、専門家としての地位確立 |
2.ターゲットオーディエンス
誰に向けて情報を発信するのか、すなわちターゲットオーディエンスも、コーポレートサイトとオウンドメディアでは大きく異なります。

コーポレートサイトが対象とするのは、非常に広範な「ステークホルダー」です。具体的には、既存顧客や潜在顧客はもちろんのこと、株主、投資家、取引先企業、金融機関、地域社会、メディア、そして採用候補者などが含まれます。企業の活動に関わるあらゆる人々に対して、公平かつ正確な情報を提供する必要があります。
対して、オウンドメディアのターゲットは、より明確に「特定の顧客層」に絞り込まれることが一般的です。自社の商品やサービスに関心を持つ可能性のある潜在顧客や、すでに何らかの接点がある見込み顧客、あるいは既存顧客に対して、彼らが抱える課題や興味関心に寄り添った情報を提供します。ペルソナを設定し、より深く、狭いターゲットに向けてコンテンツを最適化していきます。
比較項目 | コーポレートサイト | オウンドメディア |
---|---|---|
主なターゲット | 株主、投資家、顧客、取引先、求職者、メディア、地域社会など、広範なステークホルダー | 潜在顧客、見込み顧客、既存顧客、特定の課題や興味を持つ層 |
アプローチの特徴 | 全方位に向けた公平・正確な情報提供 | 特定のターゲットに深く響く、課題解決型・価値提供型の情報発信 |
3.主なコンテンツ内容
発信する情報の種類、すなわち主なコンテンツ内容も、両サイトの目的とターゲットの違いを反映して大きく異なります。

コーポレートサイトでは、「公式で網羅的な企業情報」が中心となります。会社概要、沿革、経営理念、事業内容、製品・サービス一覧、ニュースリリース、IR情報(決算情報、株主向け情報など)、採用情報、CSR活動報告、お問い合わせ先などが代表的です。情報の正確性、信頼性、網羅性が重視されます。更新頻度は比較的低い傾向にあります。
一方、オウンドメディアでは、「ターゲット顧客の課題解決や興味関心に応える価値ある情報」が中心となります。特定のテーマに関するノウハウ記事、業界トレンド解説、調査レポート、製品・サービスの活用事例、導入事例インタビュー、お客様の声、開発秘話、セミナー・イベント情報、用語解説などが挙げられます。読者の役に立ち、共感を呼ぶコンテンツを継続的に発信することが求められ、更新頻度は比較的高くなります。
比較項目 | コーポレートサイト | オウンドメディア |
---|---|---|
主なコンテンツ | 会社概要, 事業内容, IR情報, プレスリリース, 採用情報, CSR情報, お問い合わせ | ノウハウ記事, 事例紹介, インタビュー, コラム, 調査レポート, セミナー情報, お役立ち資料(ホワイトペーパー等) |
コンテンツの性質 | 網羅的, 公式, 静的, 信頼性重視 | 専門的, 課題解決型, 価値提供型, 動的, エンゲージメント重視 |
更新頻度 | 低〜中 | 中〜高 |
4.期待される効果・KPI
それぞれのサイト運営において、どのような成果を期待し、何を指標(KPI)として効果測定を行うかも異なります。

コーポレートサイトで期待される主な効果は、「企業ブランドイメージの向上」や「社会的信頼性の獲得」です。そのため、KPIとしては、ウェブサイト全体のアクセス数(PV、UU)、特定の重要ページ(会社概要、IR情報など)へのアクセス数、指名検索(企業名での検索)のボリューム、サイト経由での問い合わせ数(特にBtoB企業)、採用応募数などが設定されることがあります。
対して、オウンドメディアで期待される効果は、より「マーケティング成果への直接的な貢献」です。KPIとしては、記事ごとのPV数、UU数、平均滞在時間、検索エンジンでの表示順位、SNSでのシェア数やエンゲージメント率、資料ダウンロード数、セミナー申込数、問い合わせ数、そして最終的なリード獲得数や商談化数、受注数といったコンバージョンに関する指標が重視されます。効果測定と改善を繰り返すことが前提となります。
比較項目 | コーポレートサイト | オウンドメディア |
---|---|---|
期待される効果 | 信頼性向上, ブランディング, スムーズな企業活動支援 | リード獲得・育成, 集客力向上, SEO効果, 顧客エンゲージメント向上, 売上貢献 |
主なKPI | PV, UU, 指名検索数, 重要ページ閲覧数, 問い合わせ数(総合), 採用応募数 | 記事別PV/UU, 滞在時間, 直帰率, 回遊率, 検索順位, 自然検索流入数, SNSシェア/エンゲージメント, CVR(資料DL, 問い合わせ, 購入など), リード数, 商談化数 |
参考:オウンドメディアのKPI設定!成果を最大化するための指標と戦略
オウンドメディアとコーポレートサイトそれぞれのメリット・デメリット
オウンドメディアとコーポレートサイトの違いを理解した上で、次にそれぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
どちらか一方だけを運営する場合も、両方を連携させて活用する場合も、それぞれの長所と短所を把握しておくことは、より効果的なWebサイト戦略を立てる上で不可欠です。
自社のリソースや目的に合わせて、最適な選択をするための参考にしてください。
コーポレートサイトのメリット・デメリット
まず、企業の公式な顔であるコーポレートサイトのメリットとデメリットを確認します。
多くの企業にとって必須とも言えるコーポレートサイトですが、その特性ゆえの強みと弱みが存在します。

メリット:信頼性向上、網羅的な情報提供
コーポレートサイト最大のメリットは、その「信頼性の高さ」にあります。企業の公式ウェブサイトとして、ステークホルダーはそこに掲載されている情報を信頼します。しっかりとしたコーポレートサイトが存在することは、企業の信頼性を担保し、安心感を与える上で非常に効果的です。特に、取引開始前の企業調査や、就職活動における情報収集など、重要な意思決定の場面で参照されることが多いです。
また、「網羅的な情報提供」が可能である点もメリットです。会社概要、事業内容、歴史、IR情報、採用情報など、企業に関するあらゆる基本情報を一箇所に集約し、必要とする人がいつでもアクセスできる状態にしておけます。これにより、問い合わせ対応の効率化や、ステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを促進することができます。企業の全体像を伝える上で欠かせないプラットフォームと言えるでしょう。
デメリット:集客力の限界、更新頻度の低さ
一方で、コーポレートサイトにはデメリットも存在します。一つは、「直接的な集客力が限定的」である点です。コーポレートサイトのコンテンツは、基本的に企業情報を求める顕在的なニーズを持つユーザー(企業名をすでに知っている人など)に向けたものが中心となります。そのため、潜在顧客層に広くアプローチしたり、検索エンジン経由で多くの新規アクセスを獲得したりすることは、オウンドメディアに比べて難しい傾向にあります。
また、「コンテンツの更新頻度が低くなりがち」という点もデメリットとして挙げられます。会社概要や事業内容といった基本情報は頻繁に変わるものではないため、ニュースリリースやIR情報などを除くと、サイト全体としての情報鮮度が保ちにくい場合があります。常に新しい情報を求めているユーザーにとっては、物足りなさを感じさせてしまう可能性があり、継続的な訪問を促す力は弱いと言えるでしょう。
オウンドメディアのメリット・デメリット
次に、マーケティング活動の中核を担うオウンドメディアのメリットとデメリットを見ていきましょう。
潜在顧客へのアプローチやSEOに強い一方で、運用には時間とコストがかかる側面があります。

メリット:潜在層へのアプローチ、SEO効果、資産形成
オウンドメディアの大きなメリットは、「潜在顧客層への効果的なアプローチ」が可能になる点です。ターゲット顧客が抱えるであろう課題や疑問、興味関心に焦点を当てたコンテンツを発信することで、まだ自社の商品やサービスを知らない段階の潜在顧客にもリーチし、関係性を築くきっかけを作ることができます。
また、質の高いコンテンツを継続的に発信することは、「強力なSEO効果」を生み出します。検索エンジン経由での自然流入が増え、広告費をかけずに安定した集客が可能になります。さらに、作成したコンテンツは削除しない限りウェブサイト上に残り続けるため、「企業の知的資産として蓄積される」点も大きなメリットです。長期的に見れば、コンテンツが増えるほど集客力や情報発信力が高まり、企業の競争優位性に繋がります。
デメリット:成果が出るまでの時間、継続的な運用コスト
オウンドメディアのデメリットとしてまず挙げられるのは、「成果が出るまでに時間がかかる」点です。コンテンツを作成し、それが検索エンジンに評価され、安定したアクセスやリード獲得につながるまでには、一般的に数ヶ月から一年以上の期間を要します。短期的な成果を求める場合には不向きな施策と言えます。
また、「継続的な運用コスト(時間・労力・費用)」がかかる点も無視できません。質の高いコンテンツを定期的に制作・公開し続けるためには、企画、執筆、編集、校正、画像作成、公開作業、効果測定、リライトといった一連のプロセスが必要であり、専門的なスキルを持つ人材や外注費用が必要となります。効果測定や分析を行い、戦略的に改善を続けていく必要もあり、体制構築やリソース確保が課題となる場合があります。
参考:オウンドメディアはメリットだけじゃない!デメリットとの賢い付き合い方
まとめ
この記事では、オウンドメディアとコーポレートサイトの違いについて、それぞれの定義、目的、役割、ターゲット、コンテンツ、メリット・デメリットといった観点から解説しました。
コーポレートサイトは企業の「信頼」の基盤であり、オウンドメディアは「マーケティング」の中核を担います。両者は目的や役割が異なるため、どちらか一方が優れているというわけではありません。
重要なのは、それぞれの特性を正しく理解し、自社の事業フェーズ、マーケティング目標、ターゲット顧客、そして利用可能なリソースに合わせて、最適なWebサイト戦略を構築することです。必要に応じて両者を効果的に連携させることで、より大きな相乗効果を生み出すことも可能です。