インフルエンサーマーケティングの予算配分

インフルエンサーマーケティングの予算配分

インフルエンサーマーケティングを成功させるには、適切な予算配分が不可欠です。

しかし、何にどれくらいの費用をかければ良いのか、悩む担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、インフルエンサーマーケティングの予算配分の考え方を、目的別や限られた予算での戦略パターン、よくある失敗例と回避策まで網羅的に解説します。

そもそもインフルエンサーマーケティングとはどのような施策なのか、メリットやデメリットを整理した記事もあります。詳しくはインフルエンサーマーケティングとは?メリット・デメリットを紹介をご覧ください。

目次

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予算を立てる前の準備

インフルエンサーマーケティングの予算を立てる前には、入念な準備が必要です。

まず、施策の目的を「認知拡大」「興味関心」「購買促進」など具体的に設定します。

次に、その目的を達成するために最適なターゲット層と、彼らが利用するSNSチャネルを選定します。

最後に、インフルエンサーへの報酬や制作費など、発生する可能性のある費用項目をすべて洗い出すことで、精度の高い予算計画を立てられます。

目的(認知・興味・購買)を明確にする

インフルエンサーマーケティングを始める前に、まず施策の目的を明確にすることが重要です。

目的が曖昧なままでは、適切なインフルエンサーの選定や効果測定が困難になります。

目的は主に「認知拡大」「興味関心」「比較検討」「購買促進」の4つのフェーズに分けられます。

例えば、新商品の発売直後であれば、まずは多くの人に知ってもらう「認知拡大」が目的となるでしょう。

既存商品の魅力をより深く伝えたい場合は「興味関心」を高めることが目的になります。

自社の製品やサービスが、現在どの段階にあり、マーケティング施策によってユーザーにどのような行動をとってほしいのかを具体的に定義しましょう。

ターゲットとチャネルを選ぶ

目的が明確になったら、次に誰に情報を届けたいのか、つまりターゲットオーディエンスを具体的に設定します。

年齢、性別、興味関心、ライフスタイルなどを詳細に定義することで、より響くメッセージを作ることができます。

ターゲットを明確にしたら、そのターゲットが最も頻繁に利用しているSNSチャネルを選定します。

例えば、若年層の女性がターゲットであればInstagramやTikTokが有効でしょう。

ビジネス層にアプローチしたい場合はFacebookやX(旧Twitter)が適しているかもしれません。

ターゲットとチャネルがずれていると、どんなに良い投稿をしても効果は半減してしまいます。

適切なターゲットとチャネルを選ぶことが、施策成功の鍵を握ります。

参考:インフルエンサーマーケティングのチャネル設計

費用項目を洗い出す

インフルエンサーマーケティングにかかる費用は、インフルエンサーへの報酬だけではありません。

予算計画を立てる際には、考えられるすべての費用項目を事前に洗い出すことが重要です。

主な費用項目には、インフルエンサーへの直接的な報酬(ギフティング、固定報酬、成果報酬など)のほか、コンテンツ制作に関わる費用(撮影費、編集費、渡航費など)があります。

また、代理店やプラットフォームを利用する場合は、その手数料も考慮に入れる必要があります。

その他にも、キャンペーン事務局の運営費や広告配信費など、付随的に発生するコストも少なくありません。

これらの項目をリストアップし、漏れのないように予算を確保しましょう。

【目的別】予算配分の考え方

インフルエンサーマーケティングの予算配分は、設定した目的によって大きく変わります。

認知拡大が目的なら、より多くの人に見られるためのリーチやインプレッションを重視した配分に。

興味関心を引くことが目的なら、いいねやコメントといったエンゲージメントを重視します。

比較検討や購買促進の段階では、ウェブサイトへの誘導数や、かけた費用に対する売上(ROAS)を最優先に考え、具体的な成果に繋がる施策へ重点的に投資します。

認知拡大:リーチとインプレッションを重視

新商品やサービスのローンチ時など、まずは広く知ってもらうことが目的の場合、リーチ数やインプレッション数を最大化することに予算を集中させます。

このフェーズでは、フォロワー数が多く、幅広い層に影響力を持つメガインフルエンサーやトップインフルエンサーへの依頼が効果的です。

彼らの拡散力を活用することで、短期間で多くのユーザーに情報を届けることができます。

予算配分としては、インフルエンサーへの報酬の割合が大きくなる傾向があります。

また、二次利用可能なコンテンツを制作し、Web広告と組み合わせてさらにリーチを広げる戦略も有効です。

KPIにはリーチ数、インプレッション数、ブランド名の検索数などを設定し、効果を測定します。

興味関心:エンゲージメントを重視

ブランドや商品への興味関心を深め、ファンを育成したい場合は、エンゲージメント率を重視した予算配分が求められます。

エンゲージメントとは、いいね、コメント、保存、シェアなどのユーザーからの反応のことです。

この目的のためには、フォロワーとの距離が近く、熱心なファンを持つマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサーとの連携が効果を発揮します。

彼らは特定の分野に特化しており、専門性の高い深いコンテンツでユーザーの共感を得やすいのが特徴です。

ライブ配信やユーザー参加型のキャンペーンなど、双方向のコミュニケーションを生む企画に予算を割くと、より高いエンゲージメントが期待できます。

比較検討:クリックやサイト誘導を重視

ユーザーが複数の商品を比較検討している段階では、自社サイトやECサイトへ誘導し、商品の詳細な情報に触れてもらうことが重要になります。

そのため、投稿からウェブサイトへのクリック数(CTR)やサイト誘導数を最大化する予算配分を考えます。

インフルエンサーには、商品のレビューや使い方を詳しく解説してもらい、投稿内に明確なリンク(URLやストーリーズのリンクスタンプなど)を設置してもらうことが不可欠です。

実際に商品を使用したレビューや、他の商品との比較コンテンツは、ユーザーの購買意欲を高める上で特に効果的です。

インフルエンサーの投稿と連動した広告配信も、サイト誘導数を増やす上で有効な手段となります。

購買促進:ROASやCPAを重視

最終的なゴールである商品購入を促すフェーズでは、費用対効果を厳しく見る必要があります。

ここでは、ROAS(広告費用対効果)やCPA(顧客獲得単価)を最重要指標とし、売上に直結する施策に予算を重点的に配分します。

インフルエンサーごとにクーポンコードを発行したり、アフィリエイトリンクを活用したりすることで、誰の投稿がどれだけ売上に貢献したかを可視化できます。

成果報酬型でインフルエンサーに依頼することも有効な手段です。

過去のデータからROASが高いとわかっているインフルエンサーや施策に予算を集中投下することで、マーケティング投資の効果を最大化することができます。

限られた予算での戦略パターン

予算が限られている場合でも、工夫次第でインフルエンサーマーケティングを効果的に実施できます。

一つの方法は、フォロワー数は少なくても熱量の高いファンを持つマイクロインフルエンサーを複数人起用し、リスクを分散させつつ広くリーチする戦略です。

また、最初から大規模な施策を打つのではなく、少額のテスト施策から始めて効果の高いインフルエンサーや投稿内容を見極めるのも賢明です。

さらに、一度制作したクリエイティブを他の広告やSNSで再利用することで、費用を抑えながら効果の持続を狙えます。

マイクロインフルエンサーを多数起用する

限られた予算で効果を出すための有効な戦略の一つが、マイクロインフルエンサー(フォロワー数1千人~10万人程度)を複数人起用する方法です。

メガインフルエンサー1人に依頼する予算で、多くのマイクロインフルエンサーに依頼できるため、リスクを分散できます。

マイクロインフルエンサーは特定のジャンルに特化しており、フォロワーとのエンゲージメント率が高い傾向にあります。

そのため、ターゲット層に的確にアプローチでき、質の高い口コミ(UGC)が生まれやすいというメリットがあります。

多様な視点からの投稿が増えることで、より多くの潜在顧客に情報を届けることが可能になります。

テスト施策から始める

最初から大規模な予算を投じることに不安がある場合は、少額のテスト施策から始めることをお勧めします。

複数のインフルエンサーに異なるアプローチで投稿を依頼し、どのインフルエンサーが自社の商品と相性が良いか、どのようなコンテンツがユーザーに響くのかを分析します。

このテスト段階で得られたデータは、その後の本格的なキャンペーンを展開する上で非常に貴重な財産となります。

エンゲージメント率やクリック率などの指標を比較検討し、効果の高かったパターンを見つけ出しましょう。

成果の良い施策に予算を集中させることで、失敗のリスクを最小限に抑えながら、費用対効果を高めることができます。

クリエイティブを再利用し効率化する

インフルエンサーに制作してもらった質の高い写真や動画は、一度の投稿だけで終わらせてはもったいない資産です。

事前にインフルエンサーから二次利用の許諾を得ておくことで、これらのクリエイティブを自社のウェブサイト、SNS広告、LP、パンフレットなど、様々な媒体で再利用できます。

これにより、クリエイティブ制作にかかるコストと時間を大幅に削減することが可能です。

ユーザーが作成した投稿(UGC)も同様に、許諾を得て活用することで、リアルな口コミとして信頼性を高める効果も期待できます。

クリエイティブを多角的に活用し、投資効果を最大化しましょう。

よくある失敗例と回避策

インフルエンサーマーケティングの予算配分では、陥りがちな失敗パターンが存在します。

例えば、単純にフォロワー数だけでインフルエンサーを選んでしまい、ターゲット層と合わずに効果が出ないケースです。

また、KPI設定が曖昧で成果を正しく測定できなかったり、一人のインフルエンサーに予算を集中させすぎてリスクが高まったりすることも。

投稿内容の質を軽視し、ブランドイメージを損なう失敗も少なくありません。

これらの失敗を避けるための対策を学びましょう。

フォロワー数だけで選んでしまう

よくある失敗の一つが、インフルエンサーの選定基準をフォロワー数のみに置いてしまうことです。

フォロワーが多くても、自社のターゲット層と一致していなければ、情報は届きません。

また、フォロワーを購入している偽アカウントの可能性も考慮する必要があります。

回避策としては、フォロワーの属性(年齢、性別、地域など)やエンゲージメント率(いいねやコメントの割合)を必ず確認することです。

インフルエンサーの過去の投稿内容や世界観が、自社のブランドイメージと合致しているかも重要な選定基準です。

ツールを活用してこれらのデータを分析し、総合的に判断することが成功の鍵です。

KPI設定が曖昧

「何となく効果がありそう」といった曖昧な理由で施策を始めてしまうと、成果を正しく評価することができません。

キャンペーンの目的が認知拡大なのか、サイト誘導なのか、購買促進なのかによって、設定すべきKPI(重要業績評価指標)は異なります。

回避策は、施策開始前に必ず具体的な数値目標を持ったKPIを設定することです。

例えば、「リーチ数を1ヶ月で50万にする」「サイトへのクリック数を1,000件獲得する」「クーポン経由の売上を100万円にする」など、明確なゴールを決めましょう。

これにより、施策の進捗を客観的に把握し、改善策を講じることが可能になります。

参考:インフルエンサーマーケティングのKPIとKGI設定

予算配分が偏りすぎる

特定のメガインフルエンサー一人だけに予算の大部分を投下するのは、リスクの高い戦略です。

もしそのインフルエンサーの投稿が期待したほどの効果を生まなかった場合、キャンペーン全体が失敗に終わってしまう可能性があります。

また、ステルスマーケティングなどの問題(炎上)が発生した際の影響も甚大です。

このリスクを回避するためには、複数のインフルエンサーに予算を分散させることが有効です。

メガ、ミドル、マイクロといった異なる規模のインフルエンサーを組み合わせることで、それぞれの長所を活かし、より安定した成果を目指すことができます。

ポートフォリオを組むような考え方で、バランスの取れた予算配分を心がけましょう。

クリエイティブの質を軽視する

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーが作るクリエイティブ(投稿内容)の質が成果を大きく左右します。

しかし、企業側が伝えたい情報を詰め込みすぎたり、過度な演出を求めたりすると、インフルエンサーらしさが失われ、フォロワーから広告として敬遠されてしまいます。

これを避けるためには、インフルエンサーのクリエイティビティを尊重し、ある程度の裁量を持たせることが重要です。

一方で、ブランドの世界観や守るべきレギュレーションは明確に伝える必要があります。

インフルエンサーと十分にコミュニケーションを取り、両者が納得できる質の高いクリエイティブを共創する姿勢が求められます。

まとめ

インフルエンサーマーケティングの予算配分は、まず「目的」を明確にすることから始まります。

認知、興味、購買といったフェーズごとに適切なKPIを設定し、それに合わせてインフルエンサーの選定や施策内容を決めることが重要です。

限られた予算でも、マイクロインフルエンサーの活用やテスト施策、クリエイティブの二次利用といった工夫で効果を最大化できます。

フォロワー数だけで選ぶ、KPIが曖昧といったよくある失敗を避け、戦略的な予算配分でインフルエンサーマーケティングを成功に導きましょう。

次の記事「インフルエンサーの種類と特徴をフォロワー数別に紹介」はこちら

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