インフルエンサーマーケティングとは?メリット・デメリットを紹介

インフルエンサーマーケティングは、SNSで影響力を持つ人物(インフルエンサー)を通じて商品やサービスを訴求するマーケティング手法です。

従来の広告とは異なり、ユーザーの共感や信頼を得やすいという特徴があります。

本記事では、インフルエンサーマーケティングの基本的な定義から、具体的なメリット・デメリットまでを詳しく解説し、効果的な活用のヒントを提供します。

目次

エンカラーズはお客様の課題解決を共に実現するデジタルマーケティングパートナーです。⇒エンカラーズがわかる資料をダウンロードする

インフルエンサーマーケティングとは?定義と特徴

インフルエンサーマーケティングとは、主にSNS上で多くのフォロワーやファンを持ち、その言動が大きな影響力を持つ人物(インフルエンサー)に、自社の商品やサービスを紹介してもらうマーケティング手法です。

広告特有の一方的な情報発信ではなく、インフルエンサーという第三者の視点を通すことで、より自然で信頼性の高い情報としてユーザーに届けることができます。

ここでは、その基本的な仕組みと特徴について解説します。

SNS等で影響力のある人物が、商品・サービスを紹介する手法

インフルエンサーマーケティングの根幹は、SNSにおける個人の影響力を活用することにあります。

インフルエンサーは、特定の分野(美容、ファッション、グルメ、旅行など)において専門的な知識や優れたセンスを持ち、その発信が多くのフォロワーから支持されています。

企業はこの影響力に着目し、インフルエンサーに自社の商品やサービスを実際に体験してもらい、その感想や使い方を自身のSNSアカウントで投稿してもらいます。

媒体はInstagram、YouTube、X(旧Twitter)、TikTokなど多岐にわたり、それぞれのプラットフォームの特性に合わせたコンテンツが展開されます。

単なる広告塔ではなく、インフルエンサー自身の言葉や世界観を通じて発信されるため、情報の信頼性が高まるのが大きな特徴です。

広告より自然なコミュニケーションで共感を得やすい

テレビCMやWeb広告などの従来型広告は、企業からの一方的なメッセージと受け取られがちで、特に若い世代からは敬遠される傾向にあります。

一方、インフルエンサーマーケティングは、ユーザーが普段からフォローしている憧れの人や信頼している人物からの「おすすめ」という形で情報が届きます。

それはまるで、親しい友人から口コミを聞くような感覚に近いため、広告特有の押し付けがましさがありません。

インフルエンサーが自身のライフスタイルの中で自然に商品を紹介することで、フォロワーは共感を覚え、自分も使ってみたいという感情を抱きやすくなります。

この共感こそが、ユーザーの心を動かし、最終的な購買行動へと繋がる重要な要素となるのです。

フォロワー層や属性でターゲティングが可能

インフルエンサーマーケティングの強みの一つに、精度の高いターゲティングが挙げられます。

各インフルエンサーは、その活動分野や発信内容によって、特定の興味関心を持つフォロワー層を抱えています。

例えば、20代女性向けのコスメを紹介したい場合、同年代の女性から支持されている美容系インフルエンサーに依頼することで、自社のターゲット層に直接アプローチすることが可能です。

さらに、フォロワーの年齢層、性別、居住地域、興味関心といった詳細なデータを分析することで、より効果的なインフルエンサーを選定できます。

これにより、無駄な広告費を削減し、費用対効果の高いプロモーションを実現できるのです。

マス広告では難しい、ニッチな層へのアプローチにも非常に有効な手法と言えるでしょう。

口コミ・UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出を促進する

インフルエンサーの投稿は、単なる情報発信で終わるわけではありません。

その投稿をきっかけに、フォロワーの間で商品やサービスに関する会話が生まれたり、実際に商品を購入したユーザーが自らのSNSアカウントで感想を投稿したりすることがあります。

このような一般ユーザーによって自発的に作られるコンテンツを「UGC(User Generated Content/ユーザー生成コンテンツ)」と呼びます。

インフルエンサーの投稿が起爆剤となり、UGCが自然発生的に増えていくことで、情報はさらに広範囲に拡散されます。

企業が発信する情報よりも、一般ユーザーによるリアルな口コミであるUGCの方が信頼されやすい傾向にあるため、UGCの創出はマーケティングにおいて極めて重要な要素です。

インフルエンサーマーケティングのメリット

インフルエンサーマーケティングは、企業にとって多くの魅力的なメリットをもたらします。

消費者の購買行動が大きく変化する現代において、この手法はターゲット層に的確にアプローチし、ブランドへの共感を育む上で非常に効果的です。

ここでは、認知度拡大や信頼性の獲得、情報の拡散力、さらにはSEOへの好影響まで、インフルエンサーマーケティングが持つ具体的なメリットを多角的に解説していきます。

信頼性・共感が高く、購入意欲に繋がりやすい

インフルエンサーは、フォロワーとの間に長期的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築いています。

そのため、彼らが紹介する商品やサービスは、企業広告よりも「信頼できる情報」として受け入れられやすい傾向にあります。

また、インフルエンサーが自身の言葉でリアルな使用感や体験談を語ることで、フォロワーは強い共感を覚えます。

「この人が言うなら間違いない」「この人みたいになりたい」といった感情は、単なる商品認知に留まらず、「自分も使ってみたい」という具体的な購入意欲へと直接的に結びつきます。

この信頼と共感に基づいた訴求力の高さが、インフルエンサーマーケティングの最大のメリットと言えるでしょう。

認知度の拡大が期待できる

影響力の大きいインフルエンサーは、数十万、数百万人単位のフォロワーを抱えています。

彼らに商品やサービスを紹介してもらうことで、これまで自社のことを知らなかった潜在顧客層に対して、一気に情報を届けることが可能です。

特に、新商品や新しいブランドのローンチ時など、短期間で認知度を飛躍的に高めたい場合に非常に有効です。

また、インフルエンサーの投稿がフォロワーによってシェアやリポストされることで、情報はさらに拡散され、当初の想定をはるかに超えるリーチを獲得できる可能性も秘めています。

マス広告に匹敵する、あるいはそれ以上の認知度拡大効果を、特定のターゲット層に絞って実現できるのが大きな強みです。

ターゲット層へのアプローチ精度が高い

インフルエンサーは、その活動ジャンルや発信スタイルによって、特定の趣味嗜好やライフスタイルを持つファン(フォロワー)でコミュニティを形成しています。

例えば、アウトドア専門のインフルエンサーにはキャンプ好きのフォロワーが、子育て中のインフルエンサーには同じ境遇のママ・パパのフォロワーが集まっています。

企業は、自社の商品やサービスのターゲット層と親和性の高いフォロワーを持つインフルエンサーを選定することで、届けたい相手に的確にメッセージを伝えることができます。

これにより、広告のミスマッチが減り、無駄なコストをかけずに効率的なプロモーションが展開可能となります。

まさに「生きたターゲットリスト」に直接アプローチできる点が、大きなメリットです。

広告感が薄いため、ユーザーに受け入れられやすい

現代の消費者は、日々大量の広告に接しているため、あからさまな宣伝に対して心理的な抵抗感(広告嫌悪)を抱くことが少なくありません。

インフルエンサーマーケティングでは、商品やサービスがインフルエンサーの日常や投稿コンテンツの中に自然な形で溶け込むため、広告感が薄まります。

ユーザーにとっては、広告を「見せられている」という感覚ではなく、信頼する人の「おすすめ情報を得ている」という感覚でコンテンツを消費することができます。

そのため、情報がスルーされにくく、内容をしっかりと見てもらいやすいのが特徴です。

このユーザーへの受け入れられやすさが、メッセージの到達度を高め、キャンペーンの効果を最大化させることに繋がります。

情報の拡散(シェアや口コミ)が起きやすい

インフルエンサーの投稿は、その内容が魅力的であったり、共感を呼ぶものであったりすると、フォロワーによる「いいね!」やコメント、シェア、リポストといったアクションを誘発します。

これにより、情報はインフルエンサーのフォロワーだけに留まらず、その友人や知人へとネズミ算式に広がっていく「二次拡散」が期待できます。

さらに、インフルエンサーの投稿をきっかけに商品を購入したユーザーが、「#(ハッシュタグ)」などを付けて自らの体験を投稿するUGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれれば、さらなる拡散と信頼性の向上に繋がります。

こうしたバイラル効果は、企業がコントロールできない領域で自然発生的に起こるため、非常に強力なプロモーション効果を生み出す可能性があります。

データ分析しやすく、改善サイクルを回せる

インフルエンサーマーケティングは、実施後の効果測定が比較的容易な点もメリットです。

投稿が表示された回数(インプレッション)、投稿に反応したユーザーの数(エンゲージメント数・率)、投稿内のリンクがクリックされた回数(クリック数)など、様々な指標を数値データとして取得できます。

また、専用のクーポンコードやURLを発行することで、インフルエンサー経由の売上や会員登録数を正確に計測することも可能です。

これらのデータを分析することで、「どのインフルエンサーの効果が高かったか」「どのような投稿内容が響いたか」を客観的に評価し、次回の施策に向けた改善点を見つけ出すことができます。

PDCAサイクルを回しやすい点は、マーケティング戦略の精度を高める上で非常に重要です。

SEOやサイト流入への波及効果も期待できる

インフルエンサーマーケティングは、直接的なSNS上での効果だけでなく、間接的にSEO(検索エンジン最適化)へも良い影響を与えることがあります。

インフルエンサーの投稿によって商品やブランドの認知度が向上すると、指名検索(ブランド名や商品名での検索)の数が増加する傾向にあります。

検索エンジンは、この指名検索の増加を人気の指標と捉え、サイトの評価を高める可能性があります。

また、インフルエンサーが自身のブログやメディアで商品を紹介し、公式サイトへのリンク(被リンク)を設置してくれれば、それは質の高い被リンクとしてSEO評価の向上に直接的に貢献します。

SNSからの流入だけでなく、検索エンジン経由のオーガニックな流入増加も期待できるのです。

インフルエンサーマーケティングのデメリット

多くのメリットがある一方で、インフルエンサーマーケティングには注意すべきデメリットやリスクも存在します。

インフルエンサーの選定ミスによる効果の低減、予期せぬ炎上リスク、ステルスマーケティングの問題など、事前に理解しておくべき課題は少なくありません。

ここでは、施策を成功に導くために知っておきたいインフルエンサーマーケティングのデメリットについて、具体的な事例を交えながら解説します。

インフルエンサーマーケティングのデメリット
  • インフルエンサー選定を誤ると効果が出ない
  • 費用・リソースがかかることがある
  • 宣伝であることの明記漏れなど、ステルスマーケティングのリスク
  • インフルエンサー自身の炎上リスクがブランドに影響する
  • 投稿内容やコミュニケーションに企業側のコントロールが限定的
  • 効果測定が難しく、KPI設定・予測に不確実性がある

インフルエンサー選定を誤ると効果が出ない

インフルエンサーマーケティングの成否は、インフルエンサーの選定にかかっていると言っても過言ではありません。

単にフォロワー数が多いという理由だけで選んでしまうと、自社のブランドイメージやターゲット層と合わず、期待した効果が得られないことがあります。

例えば、フォロワーを購入して見せかけの数を増やしているインフルエンサーや、投稿へのエンゲージメント(いいね!やコメント)が極端に低いインフルエンサーに依頼しても、情報はターゲットに届きません。

インフルエンサーの普段の投稿内容、世界観、フォロワーとの関係性などを入念に調査し、自社のメッセージを熱意を持って伝えてくれる、最適なパートナーを見極めることが不可欠です。

詳しくは、インフルエンサーのキャスティングの流れで、具体的な流れや注意点を確認できます。

費用・リソースがかかることがある

インフルエンサーマーケティングには、当然ながらコストが発生します。

特に、トップインフルエンサーやメガインフルエンサーと呼ばれる数十万〜数百万人規模のフォロワーを持つ人物への依頼は、高額な費用がかかる場合があります。

費用はフォロワー数に応じて決まる「フォロワー単価」が一般的ですが、投稿内容や契約期間によっても変動します。

また、金銭的なコストだけでなく、インフルエンサーの選定、依頼、交渉、投稿内容のすり合わせ、効果測定といった一連のプロセスには、多くの時間と労力(社内リソース)が必要です。

代理店に依頼する方法もありますが、その場合も別途手数料が発生します。

予算とリソースを十分に確保した上で、計画的に進める必要があります。

投資判断を支えるのが、どのインフルエンサーの種類を使うかという視点です。より詳しくは、インフルエンサーの種類と特徴 の記事をご参照ください。

宣伝であることの明記漏れなど、ステルスマーケティングのリスク

インフルエンサーマーケティングにおいて最も注意すべきリスクの一つが、ステルスマーケティング(ステマ)です。

これは、企業から報酬を得ているにもかかわらず、その事実を隠して、あたかも個人の純粋な感想であるかのように商品を宣伝する行為を指します。

ステマは消費者を欺く行為として社会的に厳しく批判されており、発覚した際には企業やインフルエンサーの信頼が失墜するだけでなく、景品表示法の「優良誤認表示」に該当し、法的な罰則の対象となる可能性があります。

企業側は、インフルエンサーに対して、投稿に「#PR」「#プロモーション」「#タイアップ」といった、広告であることが明確にわかる表示を徹底するよう、明確に依頼し管理する責任があります。

インフルエンサー自身の炎上リスクがブランドに影響する

インフルエンサーマーケティングは、「人」を起用する手法であるため、その人物自身が引き起こす問題が、紹介した商品や企業のブランドイメージに直接的なダメージを与えるリスクをはらんでいます。

インフルエンサーの過去の不適切な言動が発覚したり、プライベートで問題を起こしたりして「炎上」した場合、そのインフルエンサーを起用した企業に対しても「なぜあんな人を起用したのか」といった批判が殺到することがあります。

これは、テレビCMで起用したタレントが不祥事を起こした場合と同様のリスクです。

依頼前には、インフルエンサーの過去の投稿や評判などを十分に調査し、リスクを評価することが重要になります。

また、万が一の事態に備えて、契約書に炎上時の対応について盛り込んでおくことも有効な対策です。

投稿内容やコミュニケーションに企業側のコントロールが限定的な場合がある

インフルエンサーマーケティングの強みは、インフルエンサー自身の言葉や世界観を通じて発信される点にありますが、これは裏を返せば、企業側が投稿内容を完全にコントロールできないことを意味します。

企業が伝えたいメッセージを細かく指定しすぎると、インフルエンサーらしさが失われ、広告色の強い不自然な投稿になってしまい、かえってフォロワーの共感を得られなくなります。

インフルエンサーのクリエイティビティを尊重し、ある程度の裁量を持たせることが成功の鍵となりますが、その結果、企業の意図とは少し異なるニュアンスで伝わってしまう可能性もゼロではありません。

事前に商品やブランドの魅力、絶対に伝えてほしいポイント、そしてNG表現などを明確に共有し、両者で丁寧なすり合わせを行うことが重要です。

効果測定が難しく、KPI設定・予測に不確実性がある

インフルエンサーマーケティングの最終的なゴールを「売上向上」に置いた場合、その直接的な貢献度を正確に測定することは難しい側面があります。

投稿を見てすぐに購入するユーザーもいれば、しばらく経ってから購入するユーザーもいるため、どのインフルエンサーのどの投稿が売上に繋がったのかを特定するのは困難です。

そのため、施策の目的をどこに置くか、そして何をKPI(重要業績評価指標)とするかを事前に明確に設定することが重要です。

例えば、認知度拡大が目的ならインプレッション数やリーチ数を、エンゲージメント向上なら「いいね!」やコメント数をKPIとします。

しかし、これらの数値が最終的な売上にどう結びつくかを予測するには不確実性が伴うことも理解しておく必要があります。

このような課題を乗り越えるための手法や考え方については、インフルエンサーマーケティングの効果測定 の記事で具体的に紹介しています。

まとめ

インフルエンサーマーケティングは、SNS時代の消費者と効果的にコミュニケーションを図るための強力な手法です。

インフルエンサーの信頼性と共感性を活用することで、ターゲット層に的確にアプローチし、従来の広告では難しかった深いレベルでのブランド理解や購買意欲の向上を期待できます。

一方で、インフルエンサーの選定ミスや炎上、ステマといったリスクも存在します。

これらのメリット・デメリットを正しく理解し、自社の目的やターゲットに合ったインフルエンサーと良好なパートナーシップを築くことが、施策を成功に導く鍵となります。

本記事で解説したポイントを踏まえ、戦略的にインフルエンサーマーケティングに取り組んでいきましょう。

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次