インフルエンサーマーケティングのBtoCとBtoBにおける違い

インフルエンサーマーケティングは、SNSやブログなどを中心に大きな発信力を持つ個人(インフルエンサー)が商品やサービスの魅力を伝えることで、ブランド認知度や購買意欲を高める手法として活用されています。多くの方が「BtoCビジネスに適している」というイメージを持っていますが、実は企業間取引(BtoB)の領域でも着実に導入が広がり、一定の成果が報告されています。

ただし、BtoCとBtoBではマーケティングの目的やアプローチ方法が大きく異なるため、同じやり方をそのまま流用するのは得策ではありません。以下では、両者の違いをわかりやすく整理し、インフルエンサーマーケティングの成功に役立つポイントを解説します。

  1. ターゲットと購買プロセスの違い
  2. 具体的な比較:BtoCとBtoB
  3. インフルエンサー起用のポイント
  4. 成果測定と注意点
  5. まとめ

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ターゲットと購買プロセスの違い

最も大きな違いとして、BtoCが「個人の消費者」を対象とするのに対し、BtoBでは「企業の購買担当者」や「意思決定者」などを対象とする点が挙げられます。BtoCの場合、個人の興味やトレンドに合わせて気軽に商品を購入することが多く、SNSの口コミやインフルエンサーの発信によって購買意欲が大きく動かされるケースも珍しくありません。一方、BtoBの購買プロセスは複数の部署やステークホルダーが関わるため、検討期間が長期化しやすく、専門性や信頼性の高い情報が求められます。

そのため、BtoC向けのインフルエンサーマーケティングではSNS上での拡散力や話題性が重視され、一気に認知度を高めるような企画がしばしば採用されます。特にファッションやコスメ、旅行、グルメなどの分野では映像や写真で訴求しやすく、InstagramやTikTok、YouTubeなどで“バズ”を起こす戦略が効果的です。一方で、BtoBではSNSだけではなく、企業サイトや専門メディア、ウェビナーといった場所でより具体的な情報を提供することが大きな成功要因となります。製品やサービスの詳細、導入事例、業界に特化したノウハウなどを深く掘り下げて発信することで、購入を検討している担当者に「本当に役立つ」「信頼できる」と思わせることが重要です。

具体的な比較:BtoCとBtoB

ここでは、BtoCとBtoBのインフルエンサーマーケティングをいくつかの観点で比較し、特徴をまとめた表を示します。

項目BtoCの特徴BtoBの特徴
ターゲット一般消費者(年齢・性別・趣味嗜好など広範囲)企業の購買担当者や意思決定者(業界の専門知識、社内調整が必要)
購買プロセス感覚的・短期的な購入が多く、口コミやトレンドによる影響が大きい複数ステークホルダーが関与するため長期化、製品の専門性や導入コストを重視
主要チャネルInstagram、TikTok、YouTubeなどビジュアル重視のSNSでの拡散LinkedIn、Twitter(X)、専門ブログ・ウェビナー、業界メディアなど、信頼性・専門性重視
インフルエンサー選定基準フォロワー数やエンゲージメント率が重視されやすい。「共感」「華やかさ」を生むことが重要業界知識や権威、オピニオンリーダーとしての地位が重視。フォロワー数より“質”を優先
コンテンツの方向性エンタメ性・ビジュアル訴求によるインパクト重視。短時間で話題をつくるキャンペーン型が多い製品詳細や課題解決ノウハウを深く解説し、企業担当者の疑問を解消。長期的な信頼構築がポイント
指標(KPI)の例いいね数、コメント数、サイトへの流入、購買数など見込み顧客(リード)獲得数、ホワイトペーパーのダウンロード数、ウェビナー参加者数、商談数など

このように、同じ“インフルエンサーマーケティング”であっても、BtoCとBtoBではターゲットに求められる情報や購買動機が大きく異なるため、選ぶチャネルやコンテンツの内容が変わってきます。BtoCでは認知度アップや一時的な話題づくりに重点を置くケースが多い一方、BtoBでは深い専門知識を提供し、長期的な関係を築く施策が求められます。

インフルエンサー起用のポイント

BtoC向けでは主に「親しみやすさ」や「発信力の強さ」がインフルエンサー選定のカギとなります。数十万〜数百万人という大規模フォロワー数を持つマクロインフルエンサーを起用すれば、一気に商品やサービスの存在を拡散し、話題をつくり出すことが可能です。一方で、あえてナノ(1,000〜1万人)・マイクロ(1万人〜10万人)規模のインフルエンサーを選ぶことで、より濃密なコミュニティとのつながりを生かし、商品・サービスへの信頼度を高められる場合もあります。

一方、BtoB向けのインフルエンサーマーケティングでは、数多くのフォロワーよりも「業界内での権威」や「専門性」を重視することがポイントです。テクノロジー、製造、金融、建設などの分野では、実務に携わっているエンジニアや研究者、コンサルタント、業界アナリストなどが高い影響力を持つことがあります。こうしたインフルエンサーが企業の課題を深く理解し、それに対する具体的なソリューションとして自社の製品やサービスを紹介する形をとることで、購買担当者に「これは自社の課題解決に直結する」と思ってもらいやすくなります。

成果測定と注意点

成果を測る際にも、BtoCとBtoBでは重視すべき指標が変わってきます。BtoCの施策では、商品リンクのクリック数やECサイトへの流入数、実際の購入数やSNSのエンゲージメント指標(いいね数、コメント数など)が成果を測るうえで重要となります。キャンペーン期間中にどれだけ売上が伸びたか、もしくはブランド名の検索量が増えたかといった視点で効果を把握するケースも多いでしょう。

BtoBの場合、見込み顧客(リード)の獲得数や、その後の商談化率、最終的な契約数に至るまでの“顧客転換”のプロセスを丁寧に追いかけます。SNSの拡散力だけを見ても、社内での合意形成などに時間がかかるBtoB取引の本質的な成果は測れません。加えて、BtoBの世界では法規制や広告表記のルールを厳守しないと、企業間の信頼関係に深刻な影響を与えかねません。ステルスマーケティングや誇大広告が発覚すると、企業全体のイメージダウンに直結するため、インフルエンサーには適切なガイドラインを設け、契約内容を明確にしておく必要があります。

まとめ

BtoCとBtoBのインフルエンサーマーケティングは、同じ「影響力のある個人の発信」を活用する方法でも、狙いどころや成功のポイントが大きく異なります。BtoCでは“バズ”による短期的な認知度向上や、一気にトレンドを作り上げる手法が有効である一方、BtoBでは専門家の権威や詳細な導入事例を提示しながら、長期的かつ信頼性の高い情報提供を行うことが求められます。企業がこの違いを理解せずに施策を進めると、SNSや広告表記の運用でつまづいたり、期待したような成果が上がらなかったりするリスクが高まります。

自社がどの市場に位置し、ターゲットがどのような情報を求めているのかをしっかり見極めながら、最適なインフルエンサーやチャネル、コンテンツ企画を検討することが何より重要です。今後は、マーケティング全体の戦略の中でインフルエンサーの役割を明確に位置づけ、それぞれのプラットフォームの特性を活かして柔軟に運用していくことが、BtoCでもBtoBでも成功への近道となるでしょう。

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