起業する時ホームページは必要?必要なケースと作成コストを紹介

- 起業時にホームページを作るべきか、利点から総合的に判断できる
- 金融機関や採用活動で求められる公式情報を、しっかり整理できる
- 企業情報やブランドを発信し、信頼性を高める方法が的確にわかる
- 目的や機能に合わせた適切な制作手段を選び、費用を最適化できる
- 低品質制作を避け、長期使えるサイトに投資する意義を理解できる
起業時にホームページは必要?

起業したからといって必ずしもホームページを用意しなければならないとは限りません。事業内容や集客方法によっては、ホームページを開設しなくてもビジネスが成り立つケースもあります。
例えば、飲食店であればグルメサイトやSNS上で必要な情報発信ができるでしょうし、ハンドメイド作家が作品販売サイトを利用している場合などでは、公式ホームページがなくても支障は少ないでしょう。実際、SNSや口コミだけで顧客を獲得している小規模事業者も珍しくありません。
また、ある調査では中小企業の半数以上が自社サイトを開設していないという結果も出ています。特に起業当初は資金や人手が限られますので、他の手段で代用できているなら無理にホームページにコストを割く必要はないと言えます。
その分、本業に集中したり、他の集客施策に資源を投入できるでしょう。とはいえ、ホームページには単なる集客以外にも重要な役割があります。次に、起業時にホームページが必要となるケースについて見ていきましょう。
起業時にホームページが必要なケース

一方で、起業時にはホームページが必要になる場面もあります。状況次第では、SNSだけでは補えない役割をホームページが担うこともあります。例えば、金融機関での手続きや人材採用では、ホームページがあることで有利に働くと考えられます。以下では、起業時にホームページが必要となるケースを具体的に解説していきます。
- 金融機関での手続きが必要
- 採用活動への活用
- 企業情報の発信とブランディング
- 顧客・取引先からの信頼性向上
- 問い合わせ先がない場合
金融機関での手続きが必要
起業すると、銀行で法人口座を開設したり融資を受けたりといった金融機関との手続きが必要になることがあります。その際に自社ホームページがあるかどうかは、審査や手続きのスムーズさに影響するポイントです。
特に、ネット銀行を含め多くの金融機関では、企業の実態を確認するためにホームページの有無を重要視しています。また、固定電話の有無と同様に、ホームページの存在は会社の実在性を示すものとして重視されます。実際に、口座開設の申込フォームで会社ホームページのURL入力を求められたり、ホームページがない場合には事業内容がわかる資料の提出を指示されるケースもあります。
ホームページ上で事業内容や会社概要をしっかり示しておけば、金融機関に対しても信頼性を示すことができ、口座開設や融資の審査がスムーズに進む可能性が高まります。逆に、ホームページがないと「実態が見えない」と判断され、手続きに時間がかかったり最悪の場合には断られることもあるので注意が必要です。
採用活動への活用
人材を採用する際にもホームページは大きな役割を果たします。求職者は応募を検討する段階で必ずと言っていいほど会社の情報をインターネットで調べますが、公式ホームページがないと会社の実態や雰囲気が伝わらず、不安に感じさせてしまうことがあります。
特に、創業間もない企業では知名度が低いため、ホームページで事業内容やビジョン、働く環境などを発信しておくことで、応募者に安心感を与えることができます。また、採用ページを設けて募集要項や社員紹介、社内の様子などを掲載すれば、自社にマッチした人材を引きつける効果も期待できます。さらに、自社ホームページ上で採用情報を公開することで、求人広告への依存を減らし、採用コストの削減にもつながります。
逆にホームページがないと、求人サイト上の限られた情報だけでは求職者に十分な印象を与えられず、有望な人材を逃してしまう可能性があります。採用活動を効率的かつ成功させるためにも、会社のホームページは有効なツールとなるでしょう。
企業情報の発信とブランディング
起業した企業にとって、ホームページは公式な情報発信の場であり、ブランディングの基盤となります。自社の事業内容や理念、商品・サービスの詳細、代表者からのメッセージなど、伝えたい企業情報をホームページ上で体系的にまとめて発信することができます。
SNSでは投稿のタイムライン上で情報が流れてしまいますが、ホームページなら必要な情報を誰でもいつでも確認できる状態で蓄積しておけます。また、デザインや掲載内容を工夫することで、自社のブランドイメージを効果的に伝えることができます。会社のカラーやロゴ、一貫したメッセージをホームページに反映させておけば、顧客や取引先に対して記憶に残る印象を与えるでしょう。
さらに、プレスリリースやお知らせを掲載すれば、メディアや投資家に対しても公式な情報源として機能します。こうした企業情報の発信とブランディングの面からも、ホームページは起業時に用意しておく価値が高いと言えます。
顧客・取引先からの信頼性向上
顧客や取引先からの信頼を得る上でも、ホームページは大きな意味を持ちます。現代では気になる企業があればまずホームページを検索するのが一般的で、公式サイトが見当たらないと「本当に実在するのか」「きちんとした会社なのか」と不安に思われてしまう可能性があります。
特に、BtoBの取引先や高額な商品・サービスを検討する顧客ほど、会社の公式サイトを確認して信頼できる企業かどうか見極めようとします。ホームページで会社概要や連絡先、過去の実績や顧客の声などを掲載していれば、そうした相手に対してもしっかりとした印象を与えることができます。
逆にホームページがない場合、「今どきホームページを持っていないのはどうしてだろう」と不審に思われたり、時代遅れな企業という印象を与えてしまうこともあります。必要な情報を得られない不便さから、顧客が離れてしまう恐れもあるでしょう。創業当初の信用力は高くない分、ホームページで信頼性を補強することが重要なのです。
問い合わせ先がない場合
顧客や取引先からの問い合わせ窓口としても、ホームページは有用です。所在地、電話番号、メールアドレスを掲載したり、お問い合わせフォームを設置したりすることで、関心を持った人が気軽に連絡できるようになります。
もしホームページがなく、SNSのDMや口コミ経由でしか連絡手段がない場合、問い合わせをしたい顧客にとってハードルが高くなってしまいます。
特に、初めて取引する相手にとっては、公式サイトに明確な連絡先が記載されていることが信頼感につながります。ホームページ上に問い合わせ先がしっかり示されていれば、商談や仕事の依頼などのビジネスチャンスを取りこぼすリスクも減らせます。逆に、問い合わせ先が分からないと興味を持った人がそこで離脱してしまい、せっかくの機会を逃すかもしれません。
起業時には小規模で人手も限られているかもしれませんが、問い合わせ対応の入り口としてホームページを用意しておくことは非常に大切です。
起業時にホームページ制作する際の予算の決め方

ホームページを作ると決めた場合、起業時の限られた資金でどれくらいの予算を割くべきか悩むこともあるでしょう。作成を始める前に、目的を整理し、必要な機能や規模を見極めた上で、適切な制作方法を選択し、費用対効果も考慮することが重要です。ここでは、起業時にホームページ制作の予算を決める際のポイントについて解説します。
- 目的の明確化
- 必要な機能・規模の洗い出し
- 制作方法の選定と相場の把握
- 投資対効果(ROI)の評価
目的の明確化
ホームページを制作する際には、まずその目的をはっきりさせることが大切です。何のためにホームページを作るのか、誰に向けて発信するのかを明確にすることで、サイトの方向性や必要なコンテンツが見えてきます。
ホームページの役割は集客に限らず、ブランド認知の向上や取引先への情報提供など多岐にわたります。自社にとって何を優先すべきかを定めることが重要です。例えば、商品やサービスの販売が主目的なら、オンラインで注文や問い合わせを受け付けられる仕組みが必要でしょう。
一方、会社の信用力を示すことが目的であれば、会社概要や実績紹介を中心としたシンプルなサイトでも目的を果たせるでしょう。目的が曖昧なままでは、作るべきサイトのイメージが定まらず、無駄な要素に予算を割いてしまう恐れもあります。起業時だからこそ、ホームページで何を達成したいのかを明確にしておくことで、限られたリソースを有効に活用できます。
必要な機能・規模の洗い出し
ホームページに盛り込むべき機能やページの規模を洗い出すことも予算決定には欠かせません。目的に応じて必要な要素は変わります。例えば、商品販売が目的ならカート機能や決済システムが要りますし、問い合わせ対応が重要ならお問い合わせフォームやチャット機能などが考えられます。
会社紹介が中心のサイトであれば、基本的な会社概要やサービス紹介、アクセス情報など数ページで構成されるシンプルな内容で足りるかもしれません。一方、ブログで集客したり頻繁に情報発信を行うなら、記事更新がしやすいCMS(コンテンツ管理システム)の導入を検討した方が良いでしょう。
こうした必要機能のリストアップを行うことで、どの程度の規模・仕様のホームページになるかが見えてきます。当然、機能が増え規模が大きくなるほど制作コストも上昇します。そのため、「絶対に必要な機能」と「余裕があれば欲しい機能」を整理し、優先順位をつけておくことも大切です。
制作方法の選定と相場の把握
ホームページの制作方法には様々な選択肢があり、それによって費用相場も大きく変わります。自分でホームページ作成ツール(ホームページビルダーやCMSなど)を使って作る場合、費用はドメイン代やサーバー代程度で済みますが、制作にかかる時間と労力を自分で負担する必要があります。
フリーランスに依頼すれば比較的安価にプロの手によるサイトを作ってもらえますが、スケジュール調整や品質のばらつきに注意が必要です。制作会社に依頼する場合は費用は高くなりますが、デザインやサポートも含めて高品質なサイトが期待できます。
費用面では、自作なら数千~数万円程度、フリーランスに依頼すれば十万前後、制作会社では内容次第で数十万~百万円以上と大きく幅があります。このように、制作方法ごとの相場観を把握した上で、自社の予算に合った選択をすることが大切です。特に起業時は潤沢な資金がないことも多いため、無理なく運用できる方法を選びましょう。
投資対効果(ROI)の評価
ホームページ制作にかかる費用は支出であると同時に、将来的なリターンを生むための投資でもあります。そのため、かけたコストに見合った効果(ROI: Return on Investment)が得られるかを考慮することも重要です。例えば、ホームページ経由で毎月どれくらいの顧客獲得が見込めるか、その売上が制作費用に対して十分かどうかといった視点で評価します。
直接的な売上だけではなく、ホームページがあることで得られる信用向上や業務効率化などの効果も広い意味でのリターンと言えます。起業時はどうしても予算に限りがありますから、高額なサイトを作ったものの期待した効果が得られないという事態は避けたいところです。
逆に、最低限の安価なサイトで済ませた結果、チャンスを逃してしまっては本末転倒です。ホームページにどれだけの投資をするかは、そのサイトから得られるメリットを見極め、費用対効果を冷静に判断して決めるようにしましょう。
ホームページ作成にかかるコスト

実際にホームページを作成する場合、選択する方法によって必要となるコストは大きく異なります。ここでは、自分で作る場合、フリーランスに依頼する場合、制作会社に依頼する場合のそれぞれについて、どの程度の費用がかかるのかを解説します。それぞれの手段の特徴とだいたいの費用感を把握しておくと、予算計画の参考になるでしょう。
- 自分で作成する場合
- フリーランスに依頼する場合
- 制作会社に依頼する場合
自分で作成する場合
自分でホームページを作成する場合、金銭的なコストは最も低く抑えられます。必要なのは主にドメイン取得費用(年間で数千円程度)とサーバーのレンタル費用(月に数百~数千円程度)です。無料または低価格のホームページ作成サービス(WixやWordPressなど)を活用すれば、初期費用をさらに抑えることも可能です。
ただし、制作にかかる時間と労力はすべて自分で負担することになります。ウェブ制作の知識がない場合は、独学で学んだり試行錯誤したりする必要があるため、公開までに時間がかかるかもしれません。当然、その分だけ本業に使える時間が減ってしまう点も念頭に置いておきましょう。
また、プロに頼む場合と比べてデザインや機能面で見劣りするサイトになるリスクもあります。しかし、起業初期で予算を極力節約したい場合には、自作は有力な選択肢です。小規模でシンプルなホームページであれば、自分で作成することで実質的な支出を最小限に抑えることができるでしょう。
フリーランスに依頼する場合
フリーランスにホームページ制作を依頼する場合、費用は制作会社に比べて割安になることが多いです。相場はページ数や機能にもよりますが、簡単な企業サイトであれば数十万円程度で依頼できるケースが多いでしょう。フリーランスは個人で動いているため、柔軟に対応してもらいやすく、直接やり取りしながら希望を反映したサイトを作成できます。
ただし、依頼する相手のスキルや経験によってクオリティに差が出る可能性があります。実績やポートフォリオを確認して信頼できるフリーランスを選ぶことが重要です。また、スケジュール管理やコミュニケーションも密に行う必要があります。納品後の修正対応や保守の範囲も事前に取り決めておかないと、追加費用や連絡不通といったトラブルに繋がる恐れがあります。
とはいえ、限られた予算でプロの手を借りたい場合には、フリーランスへの依頼は費用対効果の高い選択肢となるでしょう。
制作会社に依頼する場合
ウェブ制作会社にホームページ制作を依頼する場合、費用は他の手段に比べて高額になります。規模や内容にもよりますが、一般的に数十万円から、凝ったデザインや高度な機能を盛り込む場合は100万円を超えることも珍しくありません。
ただ、その分プロのチームが制作を担当してくれるため、デザインのクオリティやサイトの完成度は非常に高いものが期待できます。企画段階から丁寧にヒアリングを行い、目的に沿った構成やデザインを提案してくれるので、初めてホームページを作る場合でも安心感があります。納期や成果物の品質管理もしっかりしており、何かトラブルがあった際の対応や、公開後の保守サポートまで含めて任せられるのも制作会社の強みです。
一方で、起業直後で予算に余裕がない場合にはハードルが高い選択肢とも言えます。費用に見合う効果が得られるかを慎重に見極めつつ、長期的に見て必要と判断した場合に検討すると良いでしょう。
安物買いの銭失いにならないために
起業直後はコストを抑えたい一心で、必要最低限を下回るクオリティのホームページを用意してしまうこともあります。しかし、期待した効果が得られず、結局すぐにリニューアルや作り直しが必要になれば、まさに「安物買いの銭失い」です。
例えば、極端に安価なテンプレートだけで作ったサイトが顧客に響かず、早々にデザインを刷新する羽目になれば、当初の制作費も無駄になります。さらに、ホームページの品質が低いために企業の信頼性を損ね、見込み客を逃してしまえば、それも大きな機会損失と言えます。こうした事態を避けるためにも、目先の安さだけで判断せず、当初からある程度長く使える品質のホームページを作ることが重要です。
予算に限りがある中でも、必要な部分にはしっかり投資し、不要な部分を削るといったメリハリをつけることで、結果的にコストパフォーマンスの高いサイトを実現できるでしょう。
まとめ
起業時にホームページが必要かどうかは状況によりますが、信頼性向上や情報発信など大きなメリットがあります。必要性を見極め、予算と目的に応じた最適な方法でホームページを準備することが大切です。また、費用対効果を考慮し、無理のない範囲で質の高いサイトを構築できれば、起業後のビジネスの土台として役立つでしょう。