シェアードメディアとは?アーンドメディアとの違い

SNSの普及とともに、マーケティングの世界で「シェアードメディア」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、似たような言葉である「アーンドメディア」との違いが分かりにくい、と感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、「シェアードメディアとは何か?」という基本的な疑問にお答えするとともに、アーンドメディアとの明確な違い、具体的な例、そしてビジネスで活用する上でのメリット・デメリットまで、分かりやすく解説していきます。正しく理解し、効果的なマーケティング戦略に繋げましょう。
シェアードメディアとは?
シェアードメディアとは、主にSNSに代表される、企業とユーザー、あるいはユーザー同士が情報を「共有」し、双方向の対話(インタラクション)が生まれるプラットフォームや空間を指します。

マーケティングのフレームワークであるPESOモデル(ペイド、アーンド、シェアード、オウンド)の一つとしても位置づけられています。
最大の特徴は、企業が一方的に情報を発信するだけでなく、ユーザーからの「いいね!」、シェア、コメント、リプライといった反応を通じて、情報が共有・拡散され、コミュニケーションが生まれる点にあります。
企業が完全にコントロールできるオウンドメディアとは異なり、シェアードメディアはユーザーとの「共創」の場とも言えます。企業はこの空間に参加し、ユーザーと対話し、関係性を築いていくことが求められます。単なる情報発信チャネルではなく、コミュニティが形成される可能性を持つ、ダイナミックなメディア空間なのです。
シェアードメディアとアーンドメディアとの違い
シェアードメディアとアーンドメディアは密接に関連していますが、明確に異なる概念です。両者の違いを理解することは、マーケティング戦略を考える上で非常に重要です。
最も大きな違いは、シェアードメディアが「情報共有と対話の場(プラットフォームや空間)」を指すのに対し、アーンドメディアは「企業の活動の結果として、第三者から信頼や評判を『獲得』したもの(成果物)」を指す点にあります。

例えば、企業が自社のSNSアカウント(オウンドメディアでありシェアードメディアの一部)で新製品情報を投稿したとします。これに対してユーザーが「いいね!」を押したり、コメントを書き込んだりする活動は、シェアードメディア上でのインタラクションです。
しかし、その投稿を見た別のユーザーが、自らの意思で「この新製品、すごく良さそう!」と自身のブログやSNSで紹介した場合、それは企業が「獲得した」評判であり、アーンドメディアにあたります。
つまり、シェアードメディアは企業も参加する「共有の場」、アーンドメディアはコントロール不能な「信頼の獲得結果」と捉えると分かりやすいでしょう。
比較軸 | シェアードメディア | アーンドメディア |
---|---|---|
定義 | 情報共有と対話が行われる場(主にSNS) | 第三者からの信頼・評判によって獲得された露出・言及 |
発生主体 | 企業とユーザー(双方向) | 主に第三者(ユーザー、メディアなど) |
コントロール性 | 限定的(企業も参加・対話可能) | ほぼ不可能 |
主な性質 | 「共有」「対話」「拡散」の場 | 「信頼」「評判」「客観性」のある成果物 |
例 | SNS投稿へのいいね・コメント、企業のコメント返信 | ニュース記事、ブログでの紹介、口コミサイトの高評価 |
参考:オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディアそれぞれの違い
シェアードメディアの具体例
シェアードメディアは、具体的にどのようなプラットフォームや活動を指すのでしょうか。
基本的には、企業とユーザー、あるいはユーザー同士が活発に情報を交換し、共有し合うことができるオンライン上の空間が該当します。その代表格が、私たちが日常的に利用している各種ソーシャルメディアです。
これらのプラットフォーム上で繰り広げられる様々なインタラクションが、シェアードメディアを形作っています。次のセクションで、具体的なプラットフォームと活動例を見ていきましょう。
代表的なプラットフォーム
シェアードメディアの代表的なプラットフォームは、やはりソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)です。以下に主要なものを挙げます。
- Facebook: 実名登録制で、友人・知人との繋がりが強い。企業ページやグループ機能を通じたコミュニティ形成に適しています。
- X (旧Twitter): リアルタイム性と情報拡散力が高い。短いテキストでのコミュニケーションや速報性の高い情報発信に向いています。
- Instagram: 写真や動画といったビジュアルコンテンツが中心。ブランドの世界観を伝えたり、視覚的な訴求を行ったりするのに効果的です。
- TikTok: ショート動画がメインのプラットフォーム。若年層を中心に人気が高く、トレンドを生み出す力があります。
- YouTube: 動画コンテンツの共有プラットフォーム。詳細な情報提供やエンターテイメント性の高いコンテンツ配信に適しています。
- LinkedIn: ビジネス特化型のSNS。専門知識の発信やビジネスパーソンとのネットワーク構築に活用されます。
これら以外にも、LINE(特にオープンチャット)、Pinterestなどもシェアードメディアとしての側面を持っています。また、広義には、特定のテーマに関するオンラインコミュニティフォーラムやQ&Aサイトなども含まれる場合があります。
シェアードメディア上での活動例
シェアードメディアは、プラットフォームという「場」だけでなく、そこで行われる「活動」そのものも重要な要素です。企業とユーザー双方の活動によって、情報共有と対話が成り立ちます。
ユーザー側の活動例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 企業の投稿に対する「いいね!」や「お気に入り」登録
- 投稿内容を自分のフォロワーに広める「シェア」や「リツイート」
- 投稿に対する意見や感想を示す「コメント」や「リプライ」
- 特定の企業や商品について言及する「メンション」
- 商品やサービスに関する「レビュー」の投稿
- 特定のテーマやキャンペーンに関連する「ハッシュタグ」の利用
- 自ら撮影した写真や動画、テキストなどのコンテンツ投稿(UGC: ユーザー生成コンテンツ)
企業側の活動例としては、以下が考えられます。
- ユーザーからのコメントや質問に対する「返信」や「回答」
- ユーザーの投稿に対する「いいね!」や「シェア」などのリアクション
- ユーザー参加型の「キャンペーン」や「コンテスト」の実施
- ライブ配信などを通じたリアルタイムでの「質疑応答」や「交流」
これらのインタラクションを通じて、情報は多方向へ伝播し、企業とユーザー、あるいはユーザー同士の関係性が深まっていくのです。
シェアードメディアのメリット・デメリット
シェアードメディアの活用は、現代のマーケティングにおいて多くの可能性を秘めていますが、同時に注意すべき点も存在します。
その特性を理解し、メリットを最大限に活かしつつ、デメリットを最小限に抑えるための対策を講じることが重要です。メリットとしては、情報の拡散力やユーザーとの直接的な関係構築などが挙げられます。一方で、コントロールの難しさや炎上といったリスクも考慮する必要があります。次のセクションで、それぞれの側面を詳しく見ていきましょう。
シェアードメディアのメリット
シェアードメディアを効果的に活用することで、企業は多くの恩恵を受けることができます。

まず、高い情報拡散力とリーチ拡大が期待できます。ユーザーによるシェアや口コミを通じて、広告だけでは届けられない層へも情報が自然に広がっていく可能性があります。
次に、ユーザーエンゲージメントの向上です。双方向のコミュニケーションを通じて、ユーザーとの直接的な対話が可能となり、質問に答えたり、感謝を伝えたりすることで、親近感や信頼感を醸成し、ファン化を促進できます。
また、リアルなユーザーインサイトの獲得も大きなメリットです。ユーザーの率直な意見や感想、ニーズなどをダイレクトに収集でき、商品開発やサービス改善、マーケティング戦略の立案に活かすことができます。
さらに、オープンなコミュニケーションは企業の透明性を示し、ブランドの信頼性や親近感の向上にも繋がります。加えて、多くのSNSプラットフォームは無料でアカウントを開設・運用できるため、比較的低コストで始められる点も魅力と言えるでしょう。
メリット | 内容 |
---|---|
高い情報拡散力 | ユーザーによるシェア等で情報が広範囲に拡散する可能性がある |
ユーザーエンゲージメント向上 | 双方向コミュニケーションによる顧客との関係構築、ファン化促進 |
リアルなユーザーインサイト獲得 | ユーザーの生の声(意見、感想、ニーズ)を直接収集できる |
信頼性・親近感の向上 | オープンな対話による透明性の確保、人間味のあるコミュニケーション |
(比較的)低コストでの運用 | 多くのプラットフォームでアカウント開設・基本的な利用が無料 |
シェアードメディアのデメリット
多くのメリットがある一方で、シェアードメディアの活用には注意すべきデメリットも存在します。

最も大きな点は、情報の内容や拡散プロセスをコントロールすることが難しいことです。企業にとって不都合な情報や誤った情報が拡散してしまう可能性もゼロではありません。
これに関連して、炎上リスクも常に考慮する必要があります。企業の不適切な発言や対応、あるいは製品・サービスへの不満などがきっかけとなり、大規模な批判やブランドイメージの毀損に繋がる危険性があります。
また、効果的な運用のためには、継続的なリソース(時間・労力・人材)が必要です。ユーザーとのコミュニケーション対応、投稿コンテンツの企画・作成、コメント等のモニタリングなど、想像以上に手間がかかる場合があります。
さらに、成果測定の複雑さも課題の一つです。エンゲージメント率などの指標はありますが、売上やブランドイメージ向上への直接的な貢献度を正確に測ることは難しい側面があります。
最後に、プラットフォームへの依存もリスク要因です。利用しているSNSのアルゴリズム変更や規約変更、あるいはサービス自体の終了によって、これまでの戦略が通用しなくなる可能性も考慮しておく必要があります。
デメリット | 内容 |
---|---|
コントロールの難しさ | 情報の内容や拡散プロセスを企業が完全には制御できない |
炎上リスク | 不適切な言動やネガティブな情報拡散によるブランドイメージ毀損の可能性 |
継続的な運用リソース | コミュニケーション対応、モニタリング、コンテンツ作成等に工数がかかる |
成果測定の複雑さ | 売上等への直接的な貢献度を測ることが難しい場合がある |
プラットフォームへの依存 | アルゴリズム変更や規約変更、サービス終了等の影響を受ける可能性がある |
シェアードメディアの効果的な活用方法
シェアードメディアのポテンシャルを最大限に引き出すためには、単にアカウントを作成して情報を発信するだけでは不十分です。戦略的な視点を持って活用することが求められます。

重要なのは、シェアードメディアの特性である「双方向性」と「共創」を意識することです。ユーザーとの対話を重視し、コミュニティを育む視点を持つこと、そしてユーザーが生み出すコンテンツ(UGC)を促進・活用すること、さらに他のメディア(オウンド、ペイド)と連携させることが成功の鍵となります。以下で具体的な活用方法を見ていきましょう。
ユーザーとの対話を通じたコミュニティ形成
シェアードメディア活用の本質は、企業からの一方的な情報発信ではなく、ユーザーとの「対話」にあります。ユーザーからのコメントや質問には丁寧に返信し、時には企業側からも積極的に問いかけを行うなど、双方向のコミュニケーションを心がけましょう。
単なる顧客対応としてではなく、ユーザー一人ひとりと向き合い、関係性を築いていく姿勢が重要です。例えば、ユーザーの投稿に「いいね!」をしたり、感謝のメッセージを送ったりするだけでも、親近感は増します。
こうした地道なコミュニケーションの積み重ねが、企業やブランドに対する愛着を育み、共通の興味関心を持つユーザーが集う「コミュニティ」の形成へと繋がっていきます。活気のあるコミュニティは、新たなファンの獲得や、既存ファンのロイヤルティ向上に大きく貢献します。企業が「中の人」として人間味を見せ、ユーザーと同じ目線で対話に参加することが、コミュニティを活性化させる鍵となるでしょう。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)の促進と活用戦略
UGC(User Generated Content)とは、企業ではなく一般のユーザーによって作成・投稿されたコンテンツ(SNS投稿、レビュー、ブログ記事など)のことです。シェアードメディア時代において、このUGCの重要性はますます高まっています。なぜなら、企業発信の情報よりも、他のユーザーによるリアルな声の方が信頼されやすいからです。
企業は、良質な商品やサービス、感動的な体験を提供することで、ユーザーが自発的にUGCを投稿したくなるような環境を整えることが第一です。さらに、ハッシュタグキャンペーンやフォトコンテストなどを実施し、UGCの創出を積極的に「促進」することも有効な戦略です。
そして、生成されたUGCを「活用」することも重要です。ユーザーの許可を得た上で、自社のSNSアカウントで紹介したり、ウェブサイトに掲載したり、場合によっては広告クリエイティブに利用したりすることで、コンテンツの信頼性を高め、さらなる共感を呼ぶことができます。UGCは、企業とユーザーが共にブランドを作り上げていく「共創マーケティング」の核となる要素なのです。
オウンドメディア・ペイドメディアとの連携で効果を高める
シェアードメディアの効果を最大化するためには、オウンドメディアやペイドメディアといった他のメディアと連携させ、トリプルメディア(あるいはPESO)全体で戦略を考えることが不可欠です。
例えば、シェアードメディア(SNS)で話題になったテーマやユーザーからの質問について、オウンドメディア(自社ブログなど)でより深く掘り下げた解説記事を作成し、それを再度シェアードメディアで告知・拡散します。これにより、ユーザーの満足度を高め、オウンドメディアへのアクセス増加も期待できます。
また、オウンドメディアで作成した質の高いコンテンツ(導入事例、ノウハウ記事など)を、シェアードメディアを通じてターゲット層に届けたり、ペイドメディア(SNS広告など)を活用して、特に反響の大きかったシェアードメディア上の投稿やキャンペーン情報をさらに多くの人に届けたりすることも有効です。
このように、各メディアの強みを活かし、弱みを補完し合うように連携させることで、単体で運用するよりもはるかに大きな相乗効果を生み出すことが可能になります。
参考:オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディアそれぞれの違い
まとめ
シェアードメディアは、主にSNSを舞台とした、企業とユーザーが情報を共有し、対話する空間です。コントロール可能なオウンドメディアや、広告費を払うペイドメディアとは異なり、ユーザーとの「共創」が特徴です。
特にアーンドメディア(獲得した評判)とは違い、シェアードメディアは「共有と対話の場」そのものを指します。この違いを理解することが重要です。
高い拡散力やエンゲージメント向上が期待できる一方、コントロールの難しさや炎上リスクも伴います。効果的な活用のためには、ユーザーとの対話を重視したコミュニティ形成、UGCの促進と活用、そして他のメディアとの戦略的な連携が鍵となります。