インフルエンサーマーケティングでKPIが重要な理由と決め方
インフルエンサーマーケティングは、SNS上で影響力のある人物(インフルエンサー)を通じて商品やサービスをPRする人気のマーケティング手法です。
しかし、「なんとなく効果がありそう」という曖昧な理由で始めてしまうと、費用対効果が分からず、施策の改善もできません。
そこで重要になるのが、KPI(重要業績評価指標)の設定です。
本記事では、インフルエンサーマーケティングでKPIがなぜ重要なのか、そして目的別のKPI設定例から具体的な決め方、注意点までを網羅的に解説します。
この記事を読めば、あなたのインフルエンサーマーケティングを成功に導くための、的確なKPI設定ができるようになるでしょう。
インフルエンサーマーケティングにKPI設定が不可欠な理由
インフルエンサーマーケティングの成果を最大化するためには、なぜKPI設定が不可欠なのでしょうか。
それは、KPIが施策の成功を客観的に判断するための「羅針盤」となるからです。
具体的には、施策の効果を数値で評価し、費用対効果を正確に把握することができます。
さらに、改善点の発見や、関係者間での目標共有にも繋がり、施策全体の質を高める上で重要な役割を果たします。
ここでは、KPI設定が不可欠である4つの理由を詳しく解説します。
施策の効果を客観的に評価するため
インフルエンサーマーケティングにおいてKPI設定は、施策の効果を客観的な数値データに基づいて評価するために極めて重要です。
「投稿の雰囲気が良かった」「多くの人に見てもらえた気がする」といった感覚的な評価では、施策が本当にビジネス目標の達成に貢献したのかを判断できません。
KPIを設定することで、例えば「リーチ数が目標の10万人を達成した」「ウェブサイトへのクリック数が500件あった」というように、具体的な成果を定量的に測定できます。
これにより、施策の成功・失敗を明確に判断し、その要因を分析することが可能になります。
客観的な評価基準を持つことは、再現性のある成功パターンを見つけ出すための第一歩となるのです。
費用対効果を正しく把握するため
KPIの設定は、投じた費用に対してどれだけの効果が得られたのか、つまり費用対効果を正確に把握するために不可欠です。
インフルエンサーへの依頼費用や関連コストをかけた結果、どのようなリターンがあったのかを測定できなければ、その施策がビジネスとして成功だったのかを判断できません。
例えば、商品の購入をコンバージョン(CV)とした場合、「1件のCVを獲得するためにかかった費用(CPA)」や、「投じた広告費に対して得られた売上の割合(ROAS)」などを算出できます。
これらのKPIを追うことで、施策の採算性を評価し、今後の予算配分やマーケティング戦略全体の最適化に繋げることができるのです。
施策の改善点を見つけやすくするため
KPIを設定することで、施策のどこに問題があったのか、改善すべき点が明確になります。
例えば、「リーチ数は目標を達成したが、ウェブサイトへのクリック数が伸びなかった」という場合、投稿内容はユーザーの目に留まったものの、行動を促すような魅力や工夫が足りなかったのではないか、と仮説を立てることができます。
あるいは、「クリック数は多いのにコンバージョンに繋がらない」のであれば、遷移先のランディングページに問題があるのかもしれません。
このように、KPIの達成度合いを分析することで、課題が具体的に可視化され、次の施策に向けた的確な改善アクションを導き出すことが可能になります。
関係者間で共通の目標を持つため
インフルエンサーマーケティングには、自社のマーケティング担当者だけでなく、依頼するインフルエンサーや代理店、そして経営層など、多くの関係者が関わります。
KPIは、これらすべての関係者が向かうべき方向を統一し、共通の目標を持つための「共通言語」として機能します。
「今回の施策のゴールは、エンゲージメント率5%を達成することです」と明確なKPIを共有することで、関係者間の認識のズレを防ぎ、全員が同じ目標に向かって協力しやすくなります。
これにより、コミュニケーションが円滑になり、施策の進行がスムーズになるだけでなく、プロジェクト全体のパフォーマンス向上にも繋がるのです。
【目的別】インフルエンサーマーケティングで設定すべきKPIの例
インフルエンサーマーケティングのKPIは、施策の目的に応じて設定することが成功への鍵です。
「何のためにこの施策を行うのか」という目的を明確にすることで、追うべき指標も自ずと決まります。
ここでは、マーケティングファネルにおける主要な4つの目的「認知拡大」「ブランド理解促進」「購買意欲向上」「売上向上」に分け、それぞれに適したKPIの具体例を紹介します。
自社の施策がどの段階にあるのかを照らし合わせながら、最適なKPIを見つけていきましょう。
認知拡大:リーチ数・インプレッション数・動画再生数
施策の目的が、商品やブランドを「まず知ってもらう」こと、つまり認知拡大である場合、より多くの人の目に触れることが重要になります。
このフェーズで設定すべきKPIの代表例は、「リーチ数」「インプレッション数」「動画再生数」です。
リーチ数は投稿が何人のユニークユーザーに届いたかを示す指標であり、インプレッション数は投稿が表示された総回数を示します。
動画コンテンツの場合は、動画が再生された回数も重要なKPIとなります。
これらの指標を追うことで、情報がどれだけ広範囲に拡散されたかを定量的に評価できます。
特に新商品の発売時や、新たなターゲット層へアプローチしたい場合に有効なKPIです。
ブランド理解促進:エンゲージメント数・コメント内容・保存数
ブランドをただ知ってもらうだけでなく、「より深く理解してもらい、好意を持ってもらう」ことを目的とする場合、ユーザーの反応の質と量が重要になります。
この段階で注目すべきKPIは、「エンゲージメント数」「コメント内容」「保存数」です。
エンゲージメント数(いいね、コメント、シェアなど)は、ユーザーが投稿にどれだけ関心を持ったかを示す指標です。
特に、コメントの内容を分析することで、ブランドへの理解度やポジティブな感情を質的に評価できます。
また、Instagramなどにおける「保存数」は、ユーザーが後から見返したいと思うほど有益な情報だと感じた証であり、深い関心を示す重要なKPIと言えるでしょう。
購買意欲向上:Webサイト遷移数・指名検索数・UGC数
ユーザーに「この商品が欲しい」「使ってみたい」と思わせ、具体的な検討段階に進んでもらうことを目的とする場合は、ユーザーの行動変容を測るKPIが重要です。
設定すべきKPIとしては、「Webサイト遷移数(クリック数)」「指名検索数」「UGC数」が挙げられます。
投稿から自社のWebサイトへどれだけのユーザーを誘導できたかを示すWebサイト遷移数は、興味の高さを示す直接的な指標です。
また、施策後に商品名やブランド名での検索(指名検索)が増加したかどうかも、購買意欲の高まりを示す重要なサインとなります。
さらに、ユーザーが自発的に関連コンテンツを投稿するUGC(ユーザー生成コンテンツ)の数は、ファンの熱量や口コミの広がりを測る上で効果的なKPIです。
売上向上:CV数・CVR・売上金額・クーポン利用数
インフルエンサーマーケティングの最終目的として「売上を直接的に向上させる」ことを掲げる場合、成果に直結するKPIを設定する必要があります。
このフェーズで最も重要なKPIは、「CV(コンバージョン)数」「CVR(コンバージョン率)」「売上金額」です。
CV数とは、商品購入やサービス申込など、最終的な成果に至った件数を指します。
CVRは、Webサイトへ遷移したユーザーのうち、どれだけの割合がCVに至ったかを示す指標です。
また、施策経由での具体的な売上金額を追うことも欠かせません。
インフルエンサーごとに特別なクーポンコードやアフィリエイトリンクを発行すれば、誰の投稿がどれだけ売上に貢献したかを正確に測定することが可能になります。
インフルエンサーマーケティングでよく使われる主要なKPI指標を解説
インフルエンサーマーケティングの効果を測定するためには、様々なKPI指標が用いられます。
それぞれの指標が何を意味するのかを正しく理解しておくことで、より的確な効果測定と分析が可能になります。
ここでは、目的設定の際にも登場した指標の中から、特に重要で頻繁に使われる主要なKPIをピックアップし、その定義や計測におけるポイントを詳しく解説していきます。
これらの指標を深く理解し、自社の施策分析に役立てましょう。
リーチ数・インプレッション数
「リーチ数」と「インプレッション数」は、ともに認知度を測る基本的な指標ですが、その意味は異なります。
リーチ数は「投稿を見たユニークユーザーの数」であり、同じ人が複数回見ても「1」とカウントされます。
一方、インプレッション数は「投稿が表示された合計回数」であり、同じ人が3回見れば「3」とカウントされます。
つまり、リーチ数は「何人に届いたか」、インプレッション数は「何回表示されたか」を示します。
施策の目的が、とにかく多くの人に情報を届けたい場合はリーチ数を、ユーザーに繰り返し情報を刷り込みたい場合はインプレッション数も重視するといった使い分けが考えられます。
指標 | 意味 | 計測する目的 |
---|---|---|
リーチ数 | 投稿を見たユニークユーザーの数 | 情報がどれだけ多くの人に届いたかを測る |
インプレッション数 | 投稿が表示された合計回数 | 情報がどれだけ多く表示され、接触機会があったかを測る |
エンゲージメント数・エンゲージメント率
「エンゲージメント」とは、投稿に対するユーザーの反応的なアクションの総称です。
具体的には、いいね、コメント、シェア、保存などが含まれます。
「エンゲージメント数」はこれらのアクションの合計数であり、投稿への関心の総量を示します。
一方、「エンゲージメント率」は、エンゲージメント数をリーチ数やフォロワー数で割った割合を示す指標です。
エンゲージメント率を算出することで、フォロワーの規模に関わらず、投稿コンテンツの「質」や「ファンの熱量」を評価することができます。
エンゲージメント率が高い投稿は、ユーザーの心を動かす魅力的なコンテンツであったと判断できるでしょう。
クリック数・CTR(クリック率)
「クリック数」とは、インフルエンサーの投稿に含まれるURLリンクがクリックされた回数を指します。
主に、自社のウェブサイトやECサイト、キャンペーンページなどへユーザーを誘導したい場合に重要なKPIとなります。
そして、「CTR(Click Through Rate:クリック率)」は、投稿が表示された回数(インプレッション数)のうち、どれくらいの割合でリンクがクリックされたかを示す指標です。
計算式は「クリック数 ÷ インプレッション数 × 100 (%)」となります。
CTRが高いということは、投稿内容がユーザーの興味を強く惹きつけ、次のアクションへと効果的に繋げられたことを意味します。
投稿の訴求力を測るための重要な指標です。
CV(コンバージョン)数・CVR(コンバージョン率)
「CV(コンバージョン)」とは、マーケティング施策における最終的な成果を指します。
ECサイトであれば商品購入、サービスサイトであれば会員登録や資料請求などがCVにあたります。
「CV数」は、その成果が達成された件数そのものです。
そして、「CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)」は、サイトに訪れたユーザーのうち、どれだけの割合がCVに至ったかを示す指標です。
計算式は「CV数 ÷ Webサイトのセッション数(またはクリック数) × 100 (%)」となります。
CV数とCVRは、インフルエンサーマーケティングがビジネスの売上にどれだけ直接的に貢献したかを測る最も重要な指標の一つです。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)数
「UGC(User Generated Content)」とは、企業ではなく一般のユーザーによって作成・投稿されるコンテンツのことです。
インフルエンサーマーケティングの文脈では、インフルエンサーの投稿に影響を受けたユーザーが、その商品やサービスについて自発的に行う投稿(写真、レビュー、口コミなど)を指します。
「UGC数」をKPIとすることで、施策がどれだけユーザーの共感を呼び、口コミの輪を広げることができたかを測定できます。
UGCは、企業発信の情報よりも信頼されやすいという特徴があり、UGCの増加はブランドへの関心やロイヤリティの高まりを示す強力な指標となります。
ハッシュタグ投稿数
「ハッシュタグ投稿数」は、特定のキャンペーンや施策に関連して指定したハッシュタグ(例:#〇〇キャンペーン)が、SNS上でどれだけ投稿に使用されたかを示す指標です。
特に、ユーザー参加型のキャンペーンを実施する際に有効なKPIとなります。
この指標を追うことで、キャンペーンの盛り上がりや話題性、参加者の規模をリアルタイムで把握することができます。
また、投稿されたハッシュタグを検索すれば、ユーザーがどのような文脈でブランドについて語っているかを確認し、UGCを収集する上でも役立ちます。
施策の拡散力を可視化するための分かりやすい指標と言えるでしょう。
フォロワー増加数
「フォロワー増加数」は、インフルエンサーマーケティングの施策実施期間中に、自社の公式SNSアカウントのフォロワーがどれだけ増えたかを示すKPIです。
インフルエンサーの投稿をきっかけにブランドに興味を持ったユーザーが、継続的に情報を受け取りたいと考え、アカウントをフォローするという行動に繋がった数を示します。
この指標は、施策が新たなファン(潜在顧客)の獲得にどれだけ貢献したかを測るバロメーターとなります。
ただし、フォロワーの「量」だけでなく、自社のターゲット層と合致しているかという「質」も合わせて評価することが重要です。
失敗しないインフルエンサーマーケティングのKPIの決め方4ステップ
効果的なKPIを設定することは、インフルエンサーマーケティングを成功に導くための羅針盤となります。
しかし、やみくもに指標を立てても意味がありません。
ここでは、失敗しないための具体的なKPIの決め方を、4つのステップに分けて解説します。
このステップに沿って進めることで、自社のビジネス目標と連動した、測定可能で意味のあるKPIを設定することができるようになります。
最終目標の明確化から始め、具体的な数値設定まで丁寧に行いましょう。
KGI(最終的な目標)を明確にする
KPI設定の最初のステップは、その上位概念である「KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)」を明確にすることです。
KGIとは、事業全体における最終的な目標を指します。
例えば、「年間売上を前期比120%にする」「新商品の市場シェアを半年で5%獲得する」「ブランドの認知度を1年で15%向上させる」といった、具体的で測定可能なビジネスゴールです。
インフルエンサーマーケティングは、このKGIを達成するための数ある手段の一つに過ぎません。
まず最終的なゴールを定めることで、今回の施策がそのゴールに対してどのような役割を担うべきか、方向性が明確になります。
施策の目的(認知・理解・購買など)を決定する
KGIという最終ゴールが定まったら、次に今回のインフルエンサーマーケティング施策が、その達成のために「どのような役割を果たすのか」という目的を具体的に決定します。
マーケティングファネルの考え方を用いると分かりやすいでしょう。
例えば、KGIが「売上向上」であっても、まずは商品を知ってもらわなければ購入には繋がりません。
その場合、今回の施策の目的は「認知拡大」に設定します。
あるいは、競合製品との違いを伝えることが課題であれば「ブランド理解促進」が目的になります。
このように、KGI達成までのプロセスを分解し、今回の施策が担うべきフェーズ(目的)を明確にすることが重要です。
目的に沿ったKPI指標を選択する
施策の目的が明確になったら、その目的の達成度を測るための具体的なKPI指標を選択します。
このステップは、Step2で決定した目的と密接に連動します。
例えば、目的が「認知拡大」であれば、KPIは「リーチ数」や「インプレッション数」が適切です。
目的が「購買意欲向上」であれば、「Webサイト遷移数」や「指名検索数」がKPI候補となります。
そして、目的が「売上向上」であれば、「CV数」や「売上金額」をKPIに設定します。
前述の「【目的別】インフルエンサーマーケティングで設定すべきKPIの例」を参考に、自社の目的に最も合致した指標を複数選び出しましょう。
達成可能な具体的な目標数値を設定する
最後に、選択したKPI指標に対して、具体的な目標数値を設定します。
この数値は、高すぎても低すぎてもいけません。
過去の施策データ、起用するインフルエンサーの過去の投稿実績、業界の平均値などを参考に、現実的に達成可能でありながら、挑戦的な目標を設定することが重要です。
例えば、「リーチ数10万」「エンゲージメント率3%」「CV数50件」のように、誰が見ても達成・未達成が判断できる具体的な数字を定めます。
また、「いつまでに」という期間も必ず設定しましょう。
これにより、関係者全員が具体的なゴールを共有し、施策の進捗を正確に評価できるようになります。
インフルエンサーマーケティングにおけるKPI設定の注意点
KPIを正しく設定し、運用することはインフルエンサーマーケティングの成功に不可欠ですが、その過程にはいくつかの注意点が存在します。
これらの落とし穴を事前に理解しておくことで、効果的でないKPI設定を避け、施策の価値を正しく評価することができます。
ここでは、KGIとの関連性や測定の実現性、評価の多角性、そしてインフルエンサーとの関係性という4つの観点から、KPI設定における重要な注意点を解説します。
KGIとKPIの関連性を明確にする
KPIを設定する上で最も重要な注意点の一つは、KPIとKGI(最終的な目標)との関連性を常に明確にしておくことです。
KPIはKGIを達成するための中間指標であり、両者には論理的な繋がりがなければなりません。
例えば、KGIが「売上向上」であるにも関わらず、KPIを「いいね数」だけに設定してしまうと、いいねが多くても売上に繋がっていないという事態が起こり得ます。
「このKPIを達成することが、なぜ最終的な売上向上に繋がるのか」というストーリーを説明できるようにしておくことが重要です。
KPIの達成自体が目的化してしまわないよう、常にKGIを意識しましょう。
測定できない指標を設定しない
KPIは、必ず客観的に測定可能な指標でなければなりません。
「ブランドイメージの向上」や「顧客満足度のアップ」といった目標は非常に重要ですが、これらは定義が曖昧で、数値を正確に測定することが困難です。
このような抽象的な目標をKPIに設定してしまうと、施策終了後に効果を客観的に評価できず、関係者間での判断も分かれてしまいます。
もしブランドイメージ向上を測りたいのであれば、それを「指名検索数の増加率」や「ポジティブなコメントの割合」といった、具体的な測定可能な指標に置き換えてKPIとして設定する必要があります。
必ず使用するツールや方法で計測できるかを確認しましょう。
単一の指標だけでなく複数の指標で評価する
インフルエンサーマーケティングの効果を、単一のKPI指標だけで評価するのは危険です。
なぜなら、一つの側面しか見ることができず、施策の全体像を見誤る可能性があるからです。
例えば、リーチ数だけを追い求めると、インプレッション単価の安い質の低いユーザーにばかり広告が表示され、エンゲージメントや購買に全く繋がらないかもしれません。
逆に、CVRだけを重視すると、規模の大きな認知拡大の機会を逃してしまう恐れがあります。
施策の目的を達成するためには、「リーチ数」や「インプレッション数」といった量の指標と、「エンゲージメント率」や「CVR」といった質の指標など、複数のKPIを組み合わせて多角的に評価することが不可欠です。
インフルエンサーの世界観を尊重しすぎる
インフルエンサーの持つ独自の世界観やクリエイティビティを尊重することは、ファンに受け入れられる自然な投稿を作成する上で非常に重要です。
しかし、それを尊重しすぎるあまり、KPI達成のために必要な要素が投稿から抜け落ちてしまっては本末転倒です。
例えば、「ブランドサイトへの誘導」がKPIなのにURLの記載を忘れたり、「商品名の認知」が目的なのに商品名が分かりにくかったりするケースです。
施策の目的と達成すべきKPIは、依頼前にインフルエンサーと明確に共有し、クリエイティブの方向性とビジネス目標のバランスをすり合わせることが不可欠です。
両者の協力体制があってこそ、KPI達成に繋がる質の高い投稿が生まれます。
インフルエンサーマーケティングの効果測定に役立つKPI分析ツール
インフルエンサーマーケティングで設定したKPIを正確に測定し、分析するためには、専用のツールを活用することが非常に効率的です。
これらのツールは、投稿のリーチ数やエンゲージメント数などを自動で収集・分析してくれるだけでなく、インフルエンサーの選定や競合分析にも役立ちます。
ここでは、インフルエンサーマーケティングの効果測定で多くの企業に利用されている、代表的なKPI分析ツールを4つ紹介します。
各ツールの特徴を比較し、自社の目的に合ったツール選びの参考にしてください。
Astream(アストリーム)
Astream(アストリーム)は、スピーディーなインフルエンサー探しと効果測定に強みを持つツールです。
AIを活用したインフルエンサーの検索機能が特徴で、自社のブランドやターゲット層に合った人材を効率的にリストアップできます。
効果測定の面では、インフルエンサーの投稿ごとにリーチ数、エンゲージメント数、エンゲージメント率などの主要KPIを自動で集計し、分かりやすいレポートを作成してくれます。
また、インフルエンサーのフォロワー属性(年齢、性別、地域など)も分析できるため、ターゲットに的確にアプローチできたかを評価する際にも役立ちます。
施策全体の管理から詳細な効果分析までをワンストップで行いたい企業におすすめです。
REECH(リーチ)
REECH(リーチ)は、データドリブンなインフルエンサーマーケティングを支援するプラットフォームです。
国内最大級のインフルエンサーデータベースを保有しており、過去のPR投稿データに基づいて、タイアップ投稿の効果を事前に予測する機能が特徴的です。
これにより、インフルエンサーを起用する前に、期待できるリーチ数やエンゲージメント数を把握し、より確度の高い人選が可能になります。
もちろん、施策実施後の効果測定機能も充実しており、投稿ごとの詳細なKPIデータをリアルタイムで確認できます。
費用対効果を最大化するためのデータ分析を重視する企業にとって、非常に心強いツールと言えるでしょう。
INFLUENCER CLOUD(インフルエンサークラウド)
INFLUENCER CLOUD(インフルエンサークラウド)は、インフルエンサーのキャスティングから効果測定、レポート作成までを一気通貫で管理できるツールです。
特に、インフルエンサーとのコミュニケーションや案件管理の機能が充実しており、複数のインフルエンサーを起用する大規模なキャンペーンでもスムーズな進行をサポートします。
KPI分析においては、各投稿の成果をダッシュボードで一元管理し、施策全体の進捗と成果をリアルタイムで可視化できます。
また、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の収集・分析機能も備えており、施策の波及効果を測定するのにも役立ちます。
プロジェクト管理の効率化と詳細な効果測定を両立させたい企業に適しています。
Social Insight(ソーシャルインサイト)
Social Insight(ソーシャルインサイト)は、SNSアカウントの統合的な分析・管理ツールであり、インフルエンサーマーケティングの効果測定にも強力な機能を発揮します。
自社アカウントの分析はもちろん、競合他社のアカウントや特定のハッシュタグの動向も詳細に追跡できます。
インフルエンサーマーケティングにおいては、起用したインフルエンサーの投稿効果を測定するだけでなく、キャンペーンハッシュタグの投稿数推移や、UGCの分析、口コミの感情分析(ポジティブ・ネガティブ判定)などが可能です。
幅広いデータを網羅的に分析し、市場全体の反応を見ながら施策を評価したい場合に非常に有効なツールです。
まとめ
本記事では、インフルエンサーマーケティングにおけるKPIの重要性から、目的別の設定例、具体的な決め方のステップ、そして注意点までを網羅的に解説しました。
KPIは、施策の効果を客観的に評価し、費用対効果を把握し、改善点を見つけ、関係者間の共通認識を形成するための、まさに「成功への羅針盤」です。
まずは自社の最終目標(KGI)を明確にし、そこから逆算して施策の目的とKPIを設定するプロセスを徹底することが重要です。
本記事で紹介した内容を参考に、データに基づいた戦略的なインフルエンサーマーケティングを実践し、ビジネスの成長を加速させてください。